ダリガ・ナザルバエワ上院議長解任、後任には大統領府副長官

(カザフスタン)

タシケント発

2020年05月07日

カザフスタン大統領府は5月2日、ダリガ・ナザルバエワ上院議長の解任を発表した。

ナザルバエワ氏はヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領(初代大統領)の長女。2019年3月のナザルバエフ大統領辞任(2019年3月20日記事参照)を受け、当時上院議長のカシムジョマルト・トカエフ現大統領の後任として上院議長に就任した。カザフスタン憲法では大統領が早期辞任あるいは死亡した場合、残りの任期中の大統領権限は上院議長に委譲されると規定しており、ナザルバエワ氏は将来的に有力な大統領候補と目されていた。トカエフ大統領はSNS上でナザルバエワ氏の業績をたたえ感謝の意を表したが、解任の理由について一切触れていないことから、突然の事態は様々な憶測を呼んでいる。

また、5月4日には中央選挙委員会が開かれ、ナザルバエワ氏の上院議員資格が正式に抹消された。同日、上院議会が開催され、トカエフ大統領の指名を受けた大統領府副長官のマウレン・アシムバエフ氏が上院議長に就任した。上院の全会一致で信任を受けたアシムバエフ氏は「今日最も差し迫った問題は新型コロナウイルスとの闘いであり、国家機関は初代大統領から続く政策を継続維持し、国家、経済のさらなる発展と国民の福祉向上を目指す大統領の戦略を実施する。上院議会は国家元首の政策実現のため質の高い立法で支援するよう全力で取り組む」と抱負を語った。

マウレン・アシムバエフ氏は1971年アルマトイ生まれ。世界政治経済研究所、大統領府付属戦略研究所、安全保障理事会、最大与党「ヌル・オタン」副総裁を経て、トカエフ大統領就任後は大統領補佐官に就任。2019年12月からは大統領府副長官を務めていた。

アシムバエフ氏の異動により大統領府副長官には情報・社会発展相のダウレン・アバエフ氏が就任。アバエフ氏のポストには大統領補佐官のアイダ・バラエワ氏が就任した。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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