自宅待機で動画共有サービス、TikTokのニーズ急増

(米国)

ロサンゼルス発

2020年05月21日

中国のバイトダンス(ByteDance)が運営するモバイル向け動画共有サービス、TikTok(注)のアップルストアおよびグーグルプレイ経由の2020年第1四半期のアプリダウンロード数が、全世界で3億1,500万ダウンロードを記録した。これは、モバイルアプリに関するマーケティング調査を専門とするセンサー・タワーによるもので、この数字は2016年第3四半期に「ポケモン GO」が記録した当時の最高ダウンロード数3億800万を上回り、同社統計によるアプリダウンロード数において過去最高記録だという。TikTokの累計ダウンロード数を国別でみると、インドが6億1,100万で最も多く、中国が1億9,660万と続き、米国は1億6,500万で3位だった。

センサー・タワーによると、アプリ全体のダウンロード数が全世界で急増しており、2020年第1四半期は336億回数と、前年同期の279億回数と比較すると20.3%の伸びを記録している。この要因について、同社は新型コロナウイルスまん延による影響だと指摘する。

「ロサンゼルス・ビジネス・ジャーナル」紙(電子版5月4日)は、TikTokの近年の成功要因として、コンテンツ制作が容易なこと、そして人工知能(AI)により推奨された動画が次々に自動でユーザーに表示されること、の2点を挙げ、さらに今回の新型コロナウイルス感染拡大による自宅待機が、同サービスの利用を後押ししたと報じている。

米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターの調査によると、調査対象となった米国人の71%が新型コロナウイルス関連のニュースから離れ、息抜きが必要と感じており、こういったことがTikTokをはじめとする、気軽に楽しめるアプリの利用増につながっているとみられる。

マーケティング調査会社のオムニコアによれば、TikTokは150カ国・地域において70言語で利用されている。利用者層は、半数が34歳以下。2019年の収入は、1億7,690万ドルだった。

また、TikTokは4月27日、投稿者の動画および生配信放送から、ユーザーが寄付を行う仕組み(Donation Sticker)を導入したと発表した。集まった資金は、コロナウイルスの感染拡大により経済的および健康的に深刻な影響を受けている、脆弱(ぜいじゃく)な人々を支援するための団体に寄付される。TikTokは5月27日まで、その取り組みを続けるとしている。

(注)音楽に合わせた短い動画を作成し、共有できる動画配信アプリ。

(トーレス久美子)

(米国)

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