新たな農薬規制に関する意見公募開始

(タイ)

バンコク発

2020年05月22日

タイ工業省は5月19日、パラコートやクロルピリホスなど5つの物質を6月1日から、第4種有害物質に指定し、使用禁止とすることを告示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した。これを受け、タイ保健省は、これら5つの物質が食品から検出されることを禁止することなどを定めた告示案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、6月15日まで意見公募外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行っている。告示案の仮訳は別添資料のとおり。

この背景には、グリホサートとパラコート、クロルピリホスの3種の農薬について、タイ政府が規制を検討してきた経緯がある。2019年10月に国家危険物質委員会(NHSC)がこれら農薬の使用を同年12月から禁止する決議を採択したが、11月に同委員会が、その決議を覆し、グリホサートの使用禁止を見送るとともに、パラコートとクロルピリホスの使用禁止の開始時期を6カ月延期することとした。この間、タイ国内の農業団体や外国政府の反対などがあったとみられる。2020年4月30日には、国家危険物質委員会(NHSC)がパラコートとクロルピリホスの使用禁止を予定通り6月1日から実施すると決定していた。意見公募にあわせてタイ保健省が公表した説明資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、「国家危険物委員会が工業省告示有害物質リストの改正に同意した」などと意見公募の背景について言及されている。パラコートやクロルピリホスといった農薬は日本でも一般的に使われており、日本産農産物のタイへの輸出に影響が生じる可能性がある。

なお、農薬をめぐっては、2020年1月24日に残留農薬検査を強化する方針通知がタイ保健省から示された(2020年2月6日記事参照)。しかし、主要港湾での通知の本格運用はなされておらず、現在、海港を中心に、一部空港でも、ランダムでの残留農薬検査が行われている。

(福田かおる、ウォンパタラクン・ヤーダー)

(タイ)

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