南ア政府、産業別のロックダウン段階的緩和案を発表

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年04月30日

南アフリカ共和国のンコサザナ・ドラミニ・ズマ協調統治・伝統業務相とエブラヒム・パテル貿易産業相は4月25日、ロックダウン(封鎖)の5月1日から実施予定の段階的緩和にかかる「リスク調整戦略(Risk Adjusted Strategy)」の原案を発表した(南ア政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。4月23日にシリル・ラマポーザ大統領が行った国民演説(2020年4月27日記事参照)で、政府は地域ごとの新型コロナウイルスの感染状況を考慮しながら5つの警戒レベルに分類するとし、5月1日からは現在全土で敷かれている警戒レベル5から、レベル4に引き下げると発表していた。

今回の政府の原案では、産業を17に分類した上で、各警戒レベルで認める活動の範囲とともに、個人の移動に関する詳細(案)を発表した。今後は感染や対策の状況を見据えつつ、地域別にレベルの移行を検討していくとしている。必要不可欠な財・サービスの購入や提供、生産以外の外出を厳しく規制していたレベル5からの引き下げにより、新たに認める内容(案)は以下のとおり。

【レベル4】

  • 全ての農林水産業を許可
  • 製造業のうち、製紙・包装、製油などの業種は100%出勤可、自動車・同部品関連企業は50%まで出勤可、定めがない製造業は20%まで出勤可
  • 小売業では生活必需品の販売に加えて、たばこの販売可、アルコール飲料は販売不可
  • レストランはフードデリバリーに限り営業可(午前9時~午後8時)
  • 許可された仕事に係る通勤と生活必需品の購入以外は、家に滞在(レベル5から継続)、公共の場と職場でのマスク着用義務化、2メートルの社会的距離の確保、午後8時~翌日午前朝5時までの外出禁止(予定、レベル2まで同様)

【レベル3】

  • 製造業では、自動車産業も100%出勤可、定めがない業種は50%まで出勤可
  • 小売業ではアルコールの販売が月曜~水曜の午前8時~正午まで可
  • 鉱業に関わる全ての企業が100%出勤可
  • 国内航空便の一部運行許可
  • ジョギング、ウォーキングなどが可

【レベル2】

  • 全ての製造業が100%出勤可
  • 政府の指示下に全ての小売業が営業可
  • 金融・ビジネスサービスでは、不動産業の営業は可。出張を許可
  • レストランはテークアウトサービスも可
  • 人の移動では州間の移動を許可

【レベル1】

  • 全ての建設工事を許可
  • 全ての金融・ビジネスサービスを許可、ただし原則在宅勤務とする
  • 全ての宿泊業、レストランの営業(イートインを含む)を許可
  • 全ての航空業を許可
  • 人の移動制限は設けないが、必要不可欠な移動にとどめること

実質的にほぼ全てのビジネス活動が再開できるのはレベル1となる見込みだ。南ア政府は4月27日まで同案に対するパブリックコメントを募集していた。野党からは「レベル4になっても解除される経済活動が少な過ぎる」と批判の声も上がっている(「NEWS24」4月27日)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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