化学品に係る規制や政府調達に関する記述が増加、2020年外国貿易障壁報告書(韓国編)

(米国、韓国)

米州課

2020年04月14日

米国通商代表部(USTR)が3月31日に発表した2020年版外国貿易障壁報告書(NTE)で、韓国に関する記述は12ページと、前年と変わらなかった。2019年の米国の対韓貿易赤字は206億ドルと2018年比16.1%増加し、2018年の米国の対韓直接投資は415億ドルと2017年比0.2%減だった。

報告書は昨年と同様、まず改定米韓自由貿易協定(FTA:KORUS)や関税に触れている。KORUSにより米国の韓国向け工業品輸出の約95%の関税が撤廃され、化学品、木材製品、機械および機械部品、水産品などの関税は段階的廃止の途上にある。また米国の農産品輸出の3分の2について韓国は関税を撤廃し、小麦やトウモロコシ、飼料用ホエイなど農産品は無税で韓国に輸出可能となった。一方で、USTRは、特恵関税における韓国側の煩雑な検証作業など課題解決に取り組んでおり、米国の輸出業者が不合理な取り扱いを受けないよう今後も協議を続けると主張している。

貿易の技術的障壁(TBT)については、2019年に比べて化学製品に関する記述が増加した。具体的には、2018年11月に韓国が世界貿易機関(WTO)のTBT委員会に通知した殺生物製品に関する規制について、パブリックコメントを受け付ける期間や効力発生までの期間が同委員会の推奨する期間よりも短く、米国企業がこれらの規制を分析する時間が十分に持てずパブリックコメントを出せなかったこと、化学品メーカーが規制に対応する準備が十分にできなかったことを指摘している。

サービス産業の障壁については、政府調達において、韓国の中小企業製品購買促進および販路支援に関する法律により、米国の多国籍企業が実際の規模に関係なく「大企業」として分類され、多くの事業への入札の機会が奪われていると指摘している。

デジタル貿易および電子商取引の障壁については、国境を越える個人情報の移転、地図など空間情報の越境移転、金融会社が保有する個人顧客の固有情報の越境移転などに関して、韓国側が取っている制限措置を問題視した。また、電子商取引では、決済代行サービスに関する規制により越境配送サービスが十分に提供することができないと指摘している。

NTEは、総論編と各国・地域編から成り、総論編は2020年4月8日記事参照

(綿引文彦)

(米国、韓国)

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