経済省がUSMCAの完成車輸出に関する代替経過措置の詳細案を公開

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2020年04月28日

メキシコ経済省国家規制改善委員会(CONAMER)は4月22日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の完成車の代替経過措置の申請に関する詳細案を公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、パブコメの募集を開始した。募集期間は20営業日。USMCAの特恵関税率適用の救済規程の1つとして、完成車メーカーは「詳細かつ信用に足るプラン(a detailed and credible plan)」(以下、プラン)を含む申請書を北米3カ国政府に提出し、承認を得れば、生産台数の10%に相当する台数について、最長5年間は一定の経過措置を享受できる(第4章附属書4-B第8条)。しかし、協定書には、申請に関する十分な説明が明記されていない。今回公開されたCONAMERの詳細案はそれを補完するものだ。なお、完成車メーカーが代替経過措置を享受するためには、輸出先各国政府(対メキシコ輸出ではメキシコ経済省)からの承認が必要だ。

非常に詳細な情報の準備が必要

完成車メーカーは2020年7月1日までに、経済省物品市場アクセス局宛(貿易担当経済次官総局にも同報)に、申請書をメール(solicitudes.rta@economia.gob.mx外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で提出する。差し替えは8月31日まで。申請手続きやプラン作成に係る質問は、同2局宛にメール(contacto.rta@economia.gob.mx外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で相談可能。申請書に含めなければならない情報は以下のとおり。

  1. 申請理由書:代替経過措置適用願い、適用希望期間、適用条件達成誓約、プラン修正発生時の変更情報提出の承諾、提供情報に機密性が含まれる場合はその旨の宣言。
  2. 企業基本情報
  3. 完成車の組立能力:3カ国内の2019年(1~12月)の自動車、エンジン、トランスミッション、先進バッテリーの総生産能力。外部企業から購入している場合は、サプライヤーの情報。
  4. 生産:3カ国の工場リスト、2017~19年の完成車組立実績数、2020~25年の組立予定数、3カ国それぞれでの自動車部品生産額、同購入額、同域外品購入額。
  5. 販売:3カ国それぞれで生産された自動車の国別販売実績(2017~19年)と予測数(2020~25年)。
  6. 新モデル・車種:生産開始予定(年・月)、車両全体とスーパーコアパーツの域内原産割合(RVC)予測値。
  7. 鉄鋼・アルミ:全調達額に対する、3カ国内で調達予定分の割合予測値。
  8. 給料:〔1〕R&DとIT関連従事者、〔2〕自動車製造に直接関わる従業員の総人件費、〔3〕:〔1〕が〔2〕に占める割合。
  9. 詳細かつ信用に足るプラン:代替経過措置を適用する車種がUSMCAの原産地規則を達成するために必要な、自動車部品の生産・調達計画、鉄鋼・アルミの調達計画、労働付加価値割合(LVC)の達成計画。また、それらの計画を達成するために必要な追加投資、調達、雇用などの情報とスケジュール。

(志賀大祐)

(メキシコ、米国、カナダ)

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