第1四半期のロッテルダム港取扱貨物量は前年同期比9.3%減

(オランダ)

アムステルダム発

2020年04月24日

オランダのロッテルダム港を管理するPort of Rotterdamは4月16日、2020年第1四半期の取扱貨物量が前年同期比9.3%減の1億1,239万トンだったと発表した。主に石炭、鉱油製品、原油などが減少したため。液化天然ガス(LNG)、鉄鉱石などは増加したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始めている模様だ(添付資料表参照)。

ドライバルクの貨物量は1,674万トンで、前年同期比13.9%減だった。このうち、石炭は452万トンと約300万トンもの大幅な減少になった(前年同期比39.6%減)。主な理由は、ドイツとオランダでの天然ガス・風力発電の増加による、石炭火力発電の減少だった。一方、鉄鉱石は677万トン(15.7%増)となった。鉄鋼メーカーが在庫の積み増しを行ったものだが、鉄鋼生産自体は増加しなかった。

リキッドバルクでは、鉱油製品が1,416万トンで32.8%減少した。ここ数年、ロッテルダム港を拠点として取引されていたロシアとシンガポール間の燃料油の取引が急激に減少、これに代わりロシアから直接、米国に運ばれ精製されているためだ。また、新たな船舶からの排出物規則への対応により、ディーゼル燃料の輸出量が減少したことも要因。原油も2,580万トンで8.0%減少したが、2019年に蓄積された在庫がこの四半期の生産に回されたためとしている。一方、LNGは17.9%増加して200万トンを超えた。これは、LNGは価格が安く、欧州全体のガスネットワークに供給される量が増えているため。

コンテナ貨物は、3,793万トン(0.3%減)で記録的な取扱量があった前年同期とほぼ同じだった。遠洋(Deep Sea)コンテナとフィーダーコンテナは増加した一方、近海(Short Sea)コンテナは4.5%減少した。これは、欧州経済の低迷と貿易紛争による世界貿易の停滞によるもの。新型コロナウイルス感染拡大による影響は、2月に中国で操業停止・移動制限などの措置がとられた後、3月後半に中国からの貨物の減少があったものの、限定的で、4月以降に影響が出始めるとみられる。

ブレークバルクについては、RORO輸送の貨物量が594万トンで7.3%減少した。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、3月に英国とロッテルダム間の輸送量が減少したことが理由として挙げられる。

通年では10%から20%減少の可能性も

今後の見通しについて、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の急激な低迷は、ロッテルダム港にも大きな影響を与えてきており、それは4月以降に顕在化するとみられている。貨物量は通年で10~20%減少する可能性が高く、感染拡大防止対策が実施される期間、生産活動と世界貿易がどれだけ迅速に回復するかにも左右される。コンテナ部門では、輸送需要の減少に応じて、アジア・欧州間の貨物容量は最大約25%削減されると見込まれている。RORO輸送は欧州の経済活動低下の影響を直接受けており、さまざまな国での封鎖が続く限り、貨物量は大幅に減少すると予想される。

(高橋由篤)

(オランダ)

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