中小企業向け、元本繰り延べプログラムを開始

(香港)

香港発

2020年04月23日

香港金融管理局は4月17日、中小企業向け元本返済繰り延べプログラムの開始を発表した。条件に当てはまる企業は、プログラム参加金融機関からの融資に関し、一定期間は利息のみの支払いが認められ、借り入れ元本の返済は不要となる。

対象となるのは、年間売上高が8億香港ドル(約112億円、1香港ドル=約14円)以下で、4月17日時点において、プログラム参加金融機関からの借入金につき30日を超える返済遅延がなく、営業停止や破産、清算宣言をしていない法人顧客。金融管理局の発表によると、香港内の全銀行取引法人顧客の8割がカバーされる。

対象企業は、5月1日から10月31日までの6カ月間、借り入れ元本の返済が自動的に延期となり、利息のみの返済となる。一般借り入れ(リボルビングローンを含む)についてはさらに6カ月間の延期、また貿易金融については3カ月間の延期が可能。シンジケートローンや、株式その他の金融資産購入のための借り入れは対象外となる。

金融管理局は全ての銀行に対しプログラムへの参加を要請しており、銀行業中小企業融資協調スキーム(注)に参加している11の銀行全てが既に参加を表明している。

政府による100%保証融資の受付も開始

香港政府系の住宅ローン債権証券化会社である香港按掲證券(Hong Kong Mortgage Corporation)傘下の香港按證保険は4月18日、同日付で立法会(日本の国会に相当)財務委員会での審議を通過した企業向けの100%保証融資策について、総額が500億香港ドルに増額され、1社当たりの融資上限も400万香港ドルに引き上げとなり、借り入れ元本の返済期間も12カ月延長される旨を発表した。同保証策の申請は、4月20日から開始となる。

対象は、2019年末の段階で3カ月間営業活動を行っており、かつ2020年2月以降のいずれか1カ月の売上高が、2019年のいずれかの四半期の月平均売上高を3割以上下回っている企業。最優遇貸出利率から2.5ポイント減(現行の利率では2.75%)で借り入れが可能となり、担保費用は無料になる。当初6カ月間は利息のみの返済で、借り入れ元本の返済猶予を選択することも可能。

(注)2019年10月に成立。金融管理局が招集人となり、中小企業向け融資を行う11の銀行が参加する企業・個人向け協調支援スキーム。

(渕田裕介)

(香港)

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