米FDA、食卓用殻付き卵の安全規則を一時的に緩和

(米国)

農林水産・食品課

2020年04月27日

米国食品医薬品局(FDA)は4月6日、殻付き卵に関する安全規則を一時的に緩和するガイダンスを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルス感染拡大で米国各地で自宅待機令などが出る中、消費者が家庭用の卵購入を増やした結果、米国の一部店舗では卵の価格が高騰している。今回発表されたガイダンスは、こうした食卓用卵の需要増に応えるため、一定の条件の下、卵加工施設向けの卵を小売店舗向けに回すための措置だ。

ガイダンスでは、食卓用とする卵の鶏舎に対し、従来どおり全ての安全規則要件を求める一方、同じ農場内に加工用卵の鶏舎がほかにあっても、鶏舎ごとに以下の管理を行えば食卓用卵としての販売が認められる。なお、本措置は45週齢までの産卵鶏のみから成る鶏舎の卵に限る。

(1)食卓用卵を生産する鶏舎

  • 卵安全規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の全ての要件〔雌鶏のサルモネラ・エンテリティディス(SE)モニタリング、バイオセキュリティ対策、防虫・防鼠、洗浄・殺菌、環境試験・検卵、冷蔵、記録保持〕を順守する。
  • 上市前に鶏舎の環境試験・検卵を同時に行う。環境試験は、産卵鶏が40~45週齢でその後誘導換羽される際でも実施。
  • 鶏舎内の環境試験または検卵の結果がSE陰性である。
  • 食卓用ではない卵を生産する鶏舎で生産した卵とは分けて取り扱う。
  • 食卓用とそれ以外の鶏舎間での交差汚染予防のため、専用用具の使用や鶏舎ごとの防具交換などの対策を行い、その内容を文書化し維持する。

(2)食卓卵を生産しない鶏舎

  • 雌鶏のSEモニタリングと環境試験・検卵要件を除く、卵安全規則を順守する。

これにより、加工用卵の鶏舎の食卓用への切り替えが進むと考えられる。有効期間は、保健福祉省(HHS)の緊急事態宣言が続く間だ。

また、FDAは4月3日に、殻付き卵の包装・ラベルに関する緩和措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公表し、商品名や製造者名などを明示するなど一定の条件下ではラベルがない状態でも卵を販売することを認めている。

(注)FDAは卵安全規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、卵の生産者に対し、農場での生産やその後の保管、輸送過程で、卵がSEに感染しないように適切な管理とその記録を行い、FDAに登録することを求めている。生産者の農場内の鶏舎で生産される全ての卵が加工用に回される場合は、安全規則の要件の一部(冷蔵と登録)のみが適用されるが、1つでも食卓用卵として流通する場合には、農場内の全ての鶏舎に対し安全規則の全ての要件の順守が求められる。

(高松晃子)

(米国)

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