連邦議会金融部会、医療関係品の調達など新型コロナ対策の補正予算の一部を可決

(スイス)

ジュネーブ発

2020年04月20日

スイス連邦議会金融部会は4月15日、医薬品や医療器具・用具の調達などを目的とした22億4,000万スイス・フラン(約2,486億円、1フラン=約111円)の補正予算案の提出を受け、緊急性が高いと認められた7億7,500万フラン分について暫定予算として承認したことを発表した。

これまで、3月20日と4月3日に、連邦参事会(内閣)は新型コロナウイルス対策のために2020年において合計508億フランの追加予算案を提出し、議会の金融部会はその緊急性にかんがみ予算増額を承認している。4月8日に、連邦参事会はさらに、3度目となる22億4,000万フランの追加予算案を提出するとともに、そのうち7億7,500万フランについては緊急性が高いとして優先的な承認を求めていたもの。

これまでの予算は主として雇用調整やつなぎ融資資金のための必要経費だったが、今回は医療器具・用品の調達が主となっている。主な内訳は以下のとおり。

(1)マスク、消毒剤、ウイルス検査キットなどの調達経費:7億フラン

3月20日に承認された補正予算にも医療関係品の調達は含まれていたが当初60日分のみだった。政府は、これらの医療関係品が十分供給されることが今後の衛生措置の緩和の決定的な条件としている。また、本予算は、海外製品調達のみならず、マスクの国内生産の促進に活用されることも期待されている。

(2)医薬品の購入:6,500万フラン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に必要な医薬品の購入を行う。

(3)感染症対策イノベーション連合(注、CEPI)への拠出:1,000万フラン

CEPIでは新型コロナウイルス対策のためのワクチンを、2021年初頭を目標に開発予定で、スイスから協力を行うためには5月の議会特別会期開催前に資金を払い込む必要がある。

なお今回、連邦参事会から提出のあった22億4,000万フランのうち残額については、5月の議会特別会期において議論される予定だ。

(注)CEPIは2017年の世界経済フォーラムダボス会議で創設された、感染症対策に取り組む国際医療研究ネットワークで、インド、ノルウェー、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが創設メンバー。新型コロナウイルス研究のため、追加で200億ドルを必要としており、これまでカナダ、EUなどが資金協力を表明している。

(和田恭)

(スイス)

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