景気刺激策第3弾を発表、中小企業支援に焦点当て100億リンギの追加措置

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年04月09日

ムヒディン・ヤシン首相は4月6日、新型コロナウイルスの感染拡大によるマレーシア経済への影響に対する軽減策として景気刺激策第3弾PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。3月27日に発表した景気刺激策パッケージ第2弾の追加措置となり、規模は100億リンギ(約2,500億円、1リンギ=約25円)相当で、地場業界団体などの要望を踏まえ、雇用の3分の2に貢献する中小企業の財政負担軽減を主な目的としている。

大部分は賃金補助制度の拡充に

追加措置の約8割にあたる79億リンギは、3月27日に発表された賃金補助制度の拡充に充てられる。3月27日時点では、一定の条件を満たした上で、月給4,000リンギ以下の従業員に対し、月額600リンギを3カ月間、1社当たり上限を100人までとして支給する制度だったが、企業規模に応じて支給金額が増額されたほか、最大200人まで補助されることとなった(2020年4月8日記事参照)。賃金補助制度については、中小企業に限らず、日系企業を含む外資系企業でも申請が可能だ。

給与削減や無給休暇などについて労使間協議を奨励

マレーシア政府は当初、移動制限令中の従業員への給与支払いについて、原則、全額支給という方針を出していたが、4月6日の発表では雇用者側の資金繰りや経営悪化などに鑑み、給与の減額や無給休暇の取得などの雇用条件に関する労使間の協議を奨励するとした。労使間の協議は現行の雇用関連法にのっとって行うこと、必要に応じて労働局への助言を求めるように勧めている。

また、会社登記所(CCM)に定期的に提出すべき法定文書の提出期限が移動制限令中の場合には、移動制限令終了後から30日延長される。そのほか、決算期が2019年9月30日から12月31日までの企業については、CCMへの監査済みの財務諸表の提出期限も、移動制限令終了後から3カ月延長される。

メイドを除く外国人労働者を雇用している場合、2020年4月1日から12月31日までの間に就労許可の期限が切れる外国人労働者については、年次雇用税(レビー)を25%削減する。

また、中小企業に限定した措置としては、特別救済基金の金利の引き下げ、国営企業が所有する建物に入居している場合の賃料の免除または割引などがある。なお、中小企業の定義外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、中小企業公社が定めており、多国籍企業の子会社などは例外となっている。

(田中麻理)

(マレーシア)

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