全国で15日間外出を制限、交通サービスも停止

(ベトナム)

ハノイ発

2020年04月02日

ベトナム政府は3月31日、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた首相指示16号(16/ CT-TTg)を発出し、4月1日から15日間、全国民に自宅待機を要請した。(1)食料品や医薬品の調達、救急の目的、(2)生活に必要な製品やサービスを生産・提供する企業で働く目的、(3)その他の緊急の場合、においては外出が認められるが、対話の際は2メートル以上の間隔を保ち、会社、学校、病院の外や公共の場所において3人以上で集まらないよう求めた。マイ・ティエン・ズン官房長官は、報道陣の取材に対し、今回の要請は他国で見られるような国家封鎖ではないと説明した。

首相指示16号は、工場では安全な間隔を保ち、マスク着用と消毒の実施を義務付けている。同時に、企業や施設の代表者は、感染防止策を講じ、従業員の健康と安全を確保する責任を負う。ズン官房長官は「国営企業以外の企業については、企業の代表者が従業員を出社させるか否かを決めてよいが、政府が定めた対策を適応する責任を負う。政府はITを駆使して可能な限り自宅で勤務させることを奨励する」と述べた(「VNエクスプレス」3月31日)。今回の要請を受け、日系の非製造業を中心に在宅勤務を導入する企業が増え、操業を継続する製造業では感染防止の徹底化に向けた動きがみられる。

タクシーや配車アプリのサービスも停止し、移動を制限

首相指示16号を受け、交通運輸省は4月1日から15日間、輸送サービスを停止するよう要請。路線バスの運休、鉄道の本数制限をはじめ、グラブなどの配車アプリ(注)、タクシーはサービスを停止した。生活必需品や生産活動にかかる原材料・製品、労働者の運搬、公務などの特別な場合は対象外となる。

ベトナム政府は3月27日に首相指示15号(15/CT-TTg)を発出し、3月28日から4月15日まで生活に必要な製品やサービスを提供する場合を除き、商業サービス店舗の休業を要請していた。欧米などからの帰国者の感染のほか、ハノイ市内のバックマイ病院での院内感染など国内での感染事例も増えており、首相指示16号でさらに感染防止策を強化したかたちだ。4月1日14時時点でベトナムの感染者は212人(死者0人、治癒58人)。

(注)配車アプリを提供するグラブは、四輪車の配車サービスを停止するが、二輪車の配車サービスは継続する。デリバリーサービスもダナン市を除き継続。

(庄浩充)

(ベトナム)

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