新型コロナ対策で独自路線

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2020年04月13日

ルイス・ラカジェ・ポウ大統領は4月8日の記者会見で、新型コロナによって影響が生じている自国経済の立て直しに向けた財源に関連し、相続税や大企業への増税の可能性を問われ、「危機を脱する際の活力をそぐことになる」として否定的な立場を明らかにした。南米の一部の国では先々の経済回復に向けた財源として富裕層への課税なども選択肢とされる中で、異なる動きをとることを強調した。

3月1日に就任したラカジェ・ポウ大統領は、今回の新型コロナ対策に向けて独自の動きを見せている。南米の多くの国では強制力を持つ外出禁止令が敷かれているが、大統領は繰り返しその必要性を否定している。3月13日にウルグアイで初めて新型コロナの感染者が確認されて以降、国民に対しては社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)を置くことや、不要不急の外出の制限を要請するにとどめている。一方で、政府は文化やスポーツなど公式イベント開催の中止(3月13日)、教育機関の一時閉鎖(3月14日)、ショッピングモールの一時営業停止(3月17日)を早期に発表し、隣国とは国境を封鎖することで新たな感染源を断っている。

このような危機管理策によって、4月9日時点で感染者は473人(うち死者7人)で推移している。感染地域も全国19県のうち13県にとどまっており、4月8日の記者会見でラカジェ・ポウ大統領は地方にある973の学校は4月22日から再開する可能性が高いと発表した。

経済対策のための財源確保に向けては、ラカジェ・ポウ大統領は3月26日、コロナウイルス基金(1,200万ドル相当)を設立させ、その原資の大半は、月収8万ウルグアイ・ペソ(20万円、1ウルグアイ・ペソ=約2.5円)以上を得る政治家や公務員の給与から一定割合を今後2カ月にわたって徴収して確保すると発表している。

これら一連の行動もあいまって、現地コンサルティング会社のエキポスによると、政権発足から1カ月経ったラカジェ・ポウ政権の支持率は65%で、新型コロナ対策についても74%が評価すると回答している。

(紀井寿雄)

(ウルグアイ)

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