トランプ米大統領、WHOへの資金拠出を停止する意向表明

(米国)

ニューヨーク発

2020年04月15日

トランプ米国大統領は4月14日、世界保健機関(WHO)への予算拠出を停止するよう政権内に指示したことを明らかにした。WHOが中立的な情報提供など本来の役割を果たさず、中国寄りだと批判した。一方、国内外からは今回の発表に対する懸念や批判が上がっている。

トランプ大統領は会見で、「欧州の一部などWHOの指針に従った国は、中国に国境を開いた結果、感染が拡大した」と批判した。米国は1月31日に中国からの渡航制限措置を発表したが、WHOは一貫して中国を含む感染拡大国への渡航制限に反対してきた。また大統領は、年間4億~5億ドル相当のWHOへの資金拠出を停止する理由として、中国政府に不都合な情報となる武漢市の報告をWHOが精査しなかったと述べ、信頼できる情報提供や政策提言など本来の役割を果たしていないと説明した。他方、拠出を停止する間にWHOの検証を60~90日間行うと発言し、他国と議論を重ねた上でWHO改革に取り組む可能性にも言及した。

今回の発表を受けて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「今は国際社会が団結して、感染防止や事態打開に向けて連携協力すべき時」と述べ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、WHOの活動資金を削るべきでないとの考えを示した。米国医療協会も「WHOへの拠出削減は不安定な世界情勢において危険な動き」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、国際協調の必要性を訴えた。米国議会では民主党から批判が上がっており、上院歳出委員会副委員長のパトリック・リーヒ議員(バーモント州選出)は「死者数が増加するに伴い、政権は自ら責任を取らず、他人に転嫁している」と批判外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(藪恭兵)

(米国)

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