世界銀行、新型コロナウイルス対策でブラジルの輸入簡素化措置を模範事例に

(ブラジル、世界)

サンパウロ発

2020年04月16日

世界銀行は4月1日、新型コロナウイルス対策でブラジル政府が行う輸入障壁緩和の取り組みを模範事例として取り上げた(注)。模範事例とする1点目は、感染症対策にかかる医療資材の通関審査を簡素化した点。経済省貿易審議会(CAMEX)3月17日付CAMEX決議17号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(施行日:2020年3月18日)第3条により、指定品目は当局が優先的に輸入許可・管理・検査を行い、必要物資を市場へ流通させる必要性に言及している。ジェトロの「2019年度中南米進出日系企業調査PDFファイル(8.7MB)」によると、ブラジルの貿易制度面の問題点として「通関等諸手続きが煩雑」「通関に時間を要する」と回答した在ブラジル日系企業の割合はいずれも半数を超えている。通関審査を優先化・簡素化することで、非常事態に医療現場が必要としている医療資材の供給を迅速に流通させる効果が期待される。

2点目は、指定する医療資材の関税を撤廃したことだ。貿易審議会(CAMEX)は上記の決議17号と、22号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます28号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます31号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの計4決議により、合計177品目を9月30日まで免税と決定している。例えば、メルコスールの対外共通関税率(TEC)では、税率がそれぞれ「濃度70%以上のエチルアルコールで飲料に適さないもの:20%」「保護ゴーグル:18%」と定めているが、これが時限措置で撤廃された。

世界銀行は、発展途上国で「新型コロナウイルス感染拡大を防止するための資材調達は輸入に頼る傾向がある」と述べている。輸入障壁は医療資材や食料など生命の維持に必要不可欠な資材調達の阻害要因になり得るため、感染者数が増加の一途をたどる発展途上国では「資材不足は命取りになりかねない」と指摘している。

(注)世界銀行「貿易と新型コロナウイルスのガイダンスノート」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(古木勇生)

(ブラジル、世界)

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