カナダの3月の雇用者数は101万人減、失業率は2.2ポイント上昇し7.8%

(カナダ)

トロント発

2020年04月13日

4月9日にカナダ統計局の発表した3月の労働力調査結果によると、雇用者数は前月比101万1,000人(5.3%)減少し、1,817万9,000人だった。就業率(15歳以上の人口に占める就業者数の割合)は3.3ポイント減の58.5%となった。失業率は2.2ポイント上昇して、7.8%となった。1カ月間で2.2ポイントの上昇は、1976年以来比較可能なデータが利用できるようになって以来、最大の値。失業率自体も、2010年10月以来、9年6カ月ぶりの高率となった。3月の失業者数は前月比41万3,000人(36.4%)増加したが、失業者のほとんど全てが一時解雇によるものだ。

この調査を実施したのは3月15日から21日までの1週間で、新型コロナウイルスの感染拡大に対して連邦政府、州政府などが、必要不可欠でない事業の停止、渡航制限などの対策を導入した時期で、この結果、経済活動の劇的な減速と労働市場の急速な縮小がもたらされた。

雇用者数の前月比での変化を業種別でみると、生産部門では76万5,000人減(5.3%減)となり、製造業(3万4,500人減:2.0%減)、農業(1万800人減:3.6%減)、電力・ガスなど公益事業(5,300人減:3.8%減)、建設(2,200人減:0.1%減)と軒並み低調で、林業、水産業、鉱業、採石、石油・ガス(5,600人増:1.8%増)が唯一、増加した。サービス部門でも74万6,000人減(6.3%減)となり、宿泊・飲食(29万4,400人減:23.9%減)、卸売り・小売り(20万7,500人減:7.2%減)、教育サービス(12万5,400人減:9.1%減)、情報・文化・娯楽(10万3,700人減:13.3%減)、ヘルスケア・社会扶助(10万人減:4.0%減)などが大きく減少した。

卸売・小売業の内訳をみると、サービスの提供停止を余儀なくされている衣料品店などでは雇用者数の減少が大きく、必要不可欠事業として営業を続けている食料品店、スーパーマーケット、ドラッグストアなどは比較的安定している。なお、飲食業では、本調査実施期間を過ぎたあたりから多くのレストランが配達、持ち帰りのサービスを提供し始めており、各店舗のさらなる損失を部分的に軽減する動きがみられる。

今回の労働力調査結果の発表を受け、カナダ商工会議所のペリン・ビーティー会頭は「今回(発表)の雇用者数は、予想していたとおり史上最悪となった。雇用主が必要とする給与(支払いへの)支援を早急に行わなければ、さらに無数の雇用が失われる。われわれは議会にカナダ緊急賃金助成制度実施法を迅速に成立させるよう要請する」との声明を発表した。また、フォード・オンタリオ州首相は、新型コロナウイルスの流行が終息した際に、経済成長、雇用創出などがすぐに可能となるような計画を策定するための、オンタリオ雇用回復委員会を発足させた。ロッド・フィリップス財務相、ビック・フェデリ経済開発・雇用創出・貿易相を始め、州内閣の閣僚の約半数が本委員会の委員を務めている。

(酒井拓司)

(カナダ)

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