フランス中銀、第1四半期GDP成長率を前期比マイナス6%と予測、移動制限の影響

(フランス)

パリ発

2020年04月10日

フランス銀行(中央銀行)は4月8日、3月の景気報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前期比でマイナス6%と、過去最大の落ち込みになるとの見通しを発表した。新型コロナウイルス感染拡大による移動制限措置のための経済活動の急縮が響いた。2月の景気報告では0.1%増を予測していた。

同行は3月27日から4月3日に企業8,500社に対し営業状況について聞き取り調査を実施。移動制限が施行された3月17日正午から2週間(実働日数は10.5日)のうち、製造業は平均5日間、民間サービス業は平均6日間、臨時休業していた。製造業では、医薬品や食品など移動制限下でも需要が高い業種の休業は1日にとどまったが、自動車などの輸送機器は8日間、衣類・繊維は7日間と休業日が続いた。

製造業は移動制限の影響に加え、ウイルス感染が世界的に広がったことで海外からの受注も悪化。3月の工場稼働率は製造業全体で2月の78%から56%まで低下した。特に自動車(41%)、金属(46%)、衣類・繊維(47%)で落ち込んだ。

民間サービスでは広告・市場調査(5日)、自動車修理(9日)のほか、宿泊(13日)、外食(14日)で休業が続いた。建設業でも移動規制措置導入後、早い段階で工事を中断する動きが見られた。

フランス銀行は移動制限が導入されてからの2週間で経済活動全体が32%縮小したと試算(3月を通じて17%減)。製造業が48%減、民間サービスは37%減となった。特に建設業(75%減)、商業・輸送・宿泊・外食(65%減)で縮小が目立った。小幅な影響にとどまったのは農業・食品(6%減)、エネルギー・水・廃棄物処理(15%減)、金融・不動産サービス(12%減)だった。移動制限措置は2週間でGDPを年率で1.5ポイント押し下げると試算した。

(山崎あき)

(フランス)

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