インド進出日系企業へ新型コロナウイルスの影響調査を実施、8割が事業に支障あり

(インド)

ニューデリー発

2020年04月30日

ジェトロが進出日系企業に向けて実施した新型コロナウイルスの影響についてのアンケート調査によると、すでに8割以上の企業が事業に何らかの支障が出ていることがわかった。同調査は、4月24日から28日にかけ、在インド進出日系企業1,441社を対象とし、38.7%にあたる558社から回答を得たもの(うち、製造業280社、非製造業231社、その他47社)。結果の概要は以下のとおり(結果詳細は添付資料参照)。

  • 80%以上の企業が既に事業に何らかの支障発生、15.0%の企業が今後支障が生じる可能性ありと回答し、ほぼすべての日系企業の活動に影響が出ている。
  • 60%弱の企業が駐在員の一部または全員を日本に帰国させている。うち、全員帰国済みと回答したのは32.3%、一部幹部層を除き大多数が帰国済みと回答したのは25.3%。一方、33.5%の企業が全員残留と回答している。
  • 60%弱の企業が資金繰りに支障が生じている。インド政府による従業員の解雇禁止、給与全額支払い指示も経営を圧迫しており、政府からの資金面の支援を望む声が多数。
  • 2020年3月の売り上げは79.7%の企業が昨年同月比減。2020年度第一四半期(4-6月)の売り上げも72.7%の企業が減少見込みで、そのうち28.7%は前年同月比51%以上減少見込み、さらには売り上げの見通しが立たない企業も20.5%にのぼる。
  • 製造業の79.9%がロックダウン以降生産を中断、89.3%がサプライチェーンへの支障発生。生産再開にあたっては、販売の開始、政府提示の標準作業手順(SOP)への対応やワーカーの移動手段確保など課題多数。
  • 操業再開にあたり、新規駐在員や一時帰国者へのビザの早期発給、雇用ビザの再開など査証関連の措置を望む声が多い。
  • その他の問題として、空港、港湾、国内運送など物流の停滞をあげる企業が多数あり、インド政府に対し、改善を求める声が多い。

本調査で集まった要望事項はジェトロにて取りまとめの上、近く日印両政府へ提出する予定だ。

(磯崎静香)

(インド)

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