緊急融資の対象拡大など、新型コロナウイルスの企業向け対策さらに強化
(英国)
ロンドン発
2020年04月07日
英国政府が新型コロナウイルス対策として3月23日に打ち出した外出規制や商業店舗・公共施設などの閉鎖から2週間が経過した。国内の緊張感は高く、必要最低限の外出を除く自宅待機は広く浸透。公共交通機関の利用も大幅に減り、ロンドンの地下鉄利用は2月下旬に比べ9割以上減少している。
また、英国政府は医療体制の維持・増強に加え、引き続き経済対策も打ち出している。リシ・スーナック財務相は4月3日、新たに中堅企業向けの緊急融資制度を導入すると発表。これまでに発表していた大企業向け、中小企業向けの緊急融資制度(2020年3月18日記事、2020年3月23日記事参照)をさらに拡大、両者の中間に位置する事業者の資金繰りを支援するもので、年間売上高が4,500万ポンド(約60億3,000万円、1ポンド=約134円)超~5億ポンド以下が要件。中小企業向け制度と同じく、政府が与信の8割を保証する。融資上限は1社当たり2,500万ポンドで、詳細は後日公表される予定。
スーナック財務相はあわせて、中小企業向け融資制度にも追加措置を発表。25万ポンド未満の融資では、融資元が借り手事業者に個人保証を要求することを禁止し、25万ポンド以上の融資でも、個人保証は他の資産から回収した資金を差し引いた融資残高の20%以下に制限する。多数の申し込みに対して銀行が十分な与信を与えていないとの批判に応えた措置。業界団体UKファイナンスのまとめでは、同制度に対してこれまでに13万件の申請があったが、融資の承認を受けたのは983社にとどまっているという。
これまでに政府が打ち出した主な企業・雇用関連の対策は添付資料のとおり。これらのほかにも、個人事業主の所得の80%を、月2,500ポンドを上限に政府が補助するなどしている。休業中の従業員給与80%の補助制度(2020年3月23日記事参照)に対応するもので、個人事業主向けの支援措置がなかったことに懸念を示した英国小規模事業者連盟(SBI)などからの要請に応えた。政府と産業界はやり取りを密にしながら、未曽有の国難に対処している。
(宮崎拓)
(英国)
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