政府は50億ドルを追加支出、緊急経済対策総額はGDP比6.7%に

(チリ)

サンティアゴ発

2020年04月17日

セバスティアン・ピニェラ大統領は4月8日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、社会保障制度によって保護されないインフォーマル就労者や、経済的影響を受ける企業へ向けた50億ドルの新たな緊急経済対策を発表した。3月中旬に発表された経済対策(2020年4月3日記事参照)と合わせると、事業規模はGDPの6.7%に相当する167億5,000万ドルに達する。使途の詳細は以下のとおり。

(1)失業保険非適用者向け所得支援策として20億ドルの基金の創出

新型コロナウイルスの感染拡大によるビジネスへの影響が確認され、かつ失業保険の適用対象外となる約300万人の個人事業主や、インフォーマル就労者が恩恵を受けるとされている。

(2)総額30億ドルの企業向け融資枠の設定

企業に対し民間の金融機関経由で融資を行い、新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響を克服することを目的としている。チリ中央銀行および金融市場委員会(CMF)は、既に国内各行に対し、この支援を周知しており、現時点でサンタンデール銀行、チリ銀行、チリ国立銀行、Bci、スコシアバンク、イタウ銀行は政府の計画に合意しており、他の銀行も順次、本支援に参加するとしている。

  • 融資金額:最大で企業の3カ月の売上相当額。
  • 対象:年間売上高が100万UF(約36億円)(注)以下であり、破産申請中ではなく、かつ2020年3月30日の時点で30日以上の支払遅延がない企業。年間売上高が2万5,000UF以下の企業の場合は、支払遅延は2019年10月30日の時点を参照する。
  • 期間:返済開始までは6カ月の猶予期間があり、24~48カ月間に分割して返済することができる。
  • 金利:最大金利は政策金利プラス3%。
  • 他の機関からの融資の返済延期:本融資制度を利用する企業は、他の機関が提供する融資の返済を少なくとも6カ月延期され、経済的負担が軽減される。
  • 透明性確保:各銀行は計画の順守とプロセスの透明化のため、本融資の申請と承認についての情報を毎週報告する。

(注)1UFは約2万8,600ペソ(約3,600円、1ペソ=約0.13円)。UF:消費者物価指数の変動率に応じて調整されるインデックスでUnidad de Fomentoの略。

(岡戸美澪)

(チリ)

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