米国石油生産事業者が経営破たん、原油価格暴落後初めて

(米国)

ヒューストン発

2020年04月03日

コロラド州デンバーに本社を置く石油生産事業者のホワイティング・ペトロリアムは4月1日、米国連邦破産法第11章(チャプター11、日本の民事再生法に相当)に基づく会社再建の申立てを開始したと発表した。3月9日の原油価格暴落以来、ニューヨーク株式市場に上場する石油会社としては初の破産法適用になる。

同社によれば、2019年12月31日時点で約28億ドルの負債を抱える一方で、現時点ではバランスシートには5億8,500万ドル以上の資金を有していた。今次再建の理由としてサウジアラビアとロシアの原油価格戦争や新型コロナウイルスの継続期間が不明確であることから深刻な原油価格の低迷がもたらされたことを挙げている。

同社は再建に当たり、追加の資金調達を受けることなく、ベンダー、パートナー、従業員への混乱をもたらすことなく通常どおりの事業を継続するとしている。また、債権者との合意に基づき約22億ドルの債務を削減する。

同社の株価は4月1日には0.33ドルの安値を付けた。2019年4月頃には30ドル台だった株価は2019年12月末に10分の1以下の7.34ドルまで下がり、さらに新型コロナウイルス、サウジアラビアを中心とする中東およびロシアの増産による原油安が影響して約100分の1まで下落した。

米国のシェールオイル業界では、多額の債務を抱え格付けが低いシェールオイル生産事業者が多く、従来これら事業者の資金繰りを支えていたのが高利回りのハイイールド債の発行だった。融資に関してはレバレッジド・ローン、さらにリスク分散のためレバレッジド・ローンを束ねて証券化したCLO(ローン担保証券)が利用されていたが、現在の状況下ではこのような手法による資金調達も難しくなっている。

シェールオイル生産事業者が今後も存続できるかどうかは米国経済にとっても大きな課題であり、ウォールストリートジャーナル紙(4月1日電子版)は、4月3日にはトランプ大統領が大手石油生産事業者の最高経営責任者と会談して、業界の救済策を議論すると報じた。

(中川直人)

(米国)

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