米フロリダ州観光産業に打撃、新型コロナウイルス感染拡大で
(米国)
アトランタ発
2020年04月21日
米フロリダ州の観光業界が、シーズン最中の新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けている。同州の観光促進機関であるビジット・フロリダはウェブサイトで、前年と比較した観光産業の現状を概観している。それによると、ホテル業界は3月以降の落ち込みが著しい。1週間ごと(注)のホテル需要および収益をみると、2019年12月29日の週以降、2月23日の週までは需要、利益ともに前年同週比プラスで推移していたが、その翌週にマイナスに転じ、需要は3月22日の週以降70%以上の減少が、収益も3月15日の週以降は毎週3億~4億ドルのマイナスが続いている。
検索エンジンを通じてビジット・フロリダの観光紹介ページを閲覧するユーザーの件数も、3月中旬までは1日当たり約4万件と前年並みを維持していたが、それ以降は約1万5,000~2万件まで落ち込んでいる。フロリダ州には例年年間1億人以上の観光客が訪れるが、これらの数字は同州への旅行を計画する動きの停滞を示している。
クルーズ船業界もサービスの停止を余儀なくされている。米国疾病予防管理センター(CDC)が4月9日に、3月に発令したクルーズ船の運航停止命令の期間を7月18日まで延長し、クルーズ船会社の一部では運航を10月まで見合わせる動きも出てきた。雇用への影響も表面化しており、マーケットシェア世界2位のロイヤル・カリビアン・クルーズ(本社:フロリダ州マイアミ)は、従業員の26%を解雇ないし一時帰休の対象とする予定と報じられている。その中には5,000人以上の米国人従業員が含まれ、南フロリダを拠点とする従業員も多い(「サウス・フロリダ・ビジネス・ジャーナル」紙電子版4月15日)。
娯楽施設業界では、オーランドのウォルト・ディズニー・ワールドとユニバーサル・オーランド・リゾートは3月15日に営業終了して以来、閉園を続けている。3月31日時点で、それぞれ6億1,200万ドル(閉園期間1日当たり3,800万ドル)相当、1億7,260万ドル(同1日あたり1,079万ドル)相当の損失が生じているという(「オーランド・ビジネス・ジャーナル」紙電子版4月15日)。また、ウォルト・ディズニー・ワールドは、4月19日から4万3,000人の従業員を一時帰休させ、失業給付を申請させるという。ユニバーサル・オーランド・リゾートも4月20日からほぼ全ての従業員の給与を2割削減し、5月3日からパートタイム従業員を一時帰休させることを発表している。
(注)日曜日から土曜日の1週間ごとに区切って算出。
(石田励示)
(米国)
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