黒龍江省でロシアからの輸入症例が急増、全ての中ロ国境税関を臨時閉鎖

(中国)

大連発

2020年04月15日

黒龍江省衛生健康委員会の発表によると、黒龍江省では4月14日午前0時までに、外国から入国した新型コロナウイルス感染者(以下、輸入症例)が累計326人となり、省・直轄市別で最多となった。輸入症例326人のうち322人がロシアからの中国籍の入国者で、ロシアと陸路でつながる黒龍江省の国境の都市、綏芬河市経由で入国したことも明らかになった。

黒龍江省における輸入症例の増加は、ロシアでの新型コロナウイルス感染者数の増加で中国への帰国を希望する在モスクワの中国人が急増したことがその背景にある。ロシア政府が3月27日、中国政府が3月29日から、両国間の国際便を相互に停止・減便したことで、中国に向かうモスクワ発の直行便に搭乗できない人が、モスクワからウラジオストクまで航空便を使い、陸路で綏芬河市に移動したと見られている。4月8日の駐ロシア中国大使館の発表によれば、綏芬河~ポグラニチニの旅客通路が閉鎖されるなど、現在、中ロ国境税関の旅客通路が全て閉鎖されている。

現在、黒龍江政府は、省政府を挙げて綏芬河市における輸入症例の拡大防止に取り組んでいる。PCR検査や血清抗体検査が可能な実験室の整備、省内の他地域から同市への医療チームの派遣に加え、同市に新たに約600床の仮設病院を整備する予定だ。さらに同市では、4月8日午前6時から住宅区の封鎖管理を開始し、通勤者を除き、各世帯につき3日に1回(1回1人)の外出しか認めていない。

黒龍江省の新型コロナウイルスの国内累計感染者数(輸入症例を除く)は493人(4月14日午前0時時点)で東北3省の中で最も多い。新たな輸入症例の増加を受け、企業の生産や民生関連サービス業の再開など、経済活動の復旧に向けた動きに影響を与えることが懸念されている。

(呉暁東)

(中国)

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