ガソリン価格が急落、新型コロナウイルス対策をめぐる外出自粛の影響

(米国)

米州課

2020年04月01日

全米平均のガソリン価格(レギュラー)は、3月30日に1ガロン(3.78リットル)当たり2.01ドルとなり、前週比で11セント、前月比で43セント、前年比で68セント下落した。原油価格の下落に加えて、米国自動車協会(AAA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、新型コロナウイルス感染の拡大で、米国人が自宅にとどまりガソリンの消費が減少しているためとしている。多くの州が外出禁止措置などを続けているため、AAAは、全米平均のガソリン価格はさらに下落し、4年ぶりに2ドルを割り込むとみている。既にオクラホマ、ウィスコンシン、オハイオ、テキサスなど10州ではガソリン価格は1.75ドル以下となっている。

ガソリン需要の落ち込みで、石油精製業界が冬季用に精製ブレンドした高揮発性ガソリン(注)は余剰が続いており、このため環境保護庁(EPA)は通常5月1日までと定めている冬季ブレンドの販売期限を5月20日まで延長外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同措置を講じない場合、ガソリンの小売業者や卸売業者は、2020年5月1日に貯蔵タンクに残っている冬用ガソリンの販売を停止する必要があり、夏用ガソリンを貯蔵タンクに積み込むことができなくなる。EPAはガソリン供給の安定性確保のため、今回の措置に踏み切ったが、需給状況に応じて冬季ブレンドの販売期限をさらに延長する可能性があるとしている。

(注)冬季(低温時)にはエンジンの始動性を高めるため、炭化水素の含有量を変えることでガソリンの揮発性は高めに設定されている。一方、夏季(高温時)にはガソリンの揮発性が高すぎると,ベーパーロック現象(燃料経路に気泡が発生し、ライン詰らせてしまう現象)が起きるため,ガソリンの揮発性は低く設定されている。

(木村誠)

(米国)

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