トランプ米大統領、経済再開ガイドラインを発表、州知事に裁量

(米国)

ニューヨーク発

2020年04月17日

トランプ米大統領は4月16日、市民生活や経済活動の再開に向けたガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の収束度合いに応じて、日常生活や企業ビジネスへの制限を3つの段階に分けて緩和していく内容だが、その実施は州知事の裁量に委ねている。州知事は、近隣の州同士で再開時期を調整する方針を打ち出している。

ガイドラインでは、再開の条件として、14日間にわたり新型コロナウイルスやインフルエンザに似た症例が減少し、かつ同ウイルスの感染者または陽性反応の割合が減少傾向にあることや、医療機関において全ての患者に対応できること、医療従事者などに対する検査体制の整備を挙げている。

再開のプロセスは3段階に分けられ、一般市民や雇用主(企業)ごとに行動指針を示している。第1段階では、人同士の距離を保つことを条件にレストランや映画館、スポーツジムなどの再開を認める一方、10人を超える会合(商談会や懇親会など)の自粛や必要不可欠でない旅行の自粛、学校の閉鎖は引き続き維持される。企業活動については、密集が想定される場所の使用禁止や不要不急の出張は最小限にとどめ、テレワークを極力行うことが推奨される。第2段階に移ると、50人以下の集会や出張が認められ、学校も再開可能となる。第3段階では大半の活動は通常に戻り、集会の人数制限はなく、企業も職場の人員配置を自由に行える。ただし、どの段階においても、手洗いやマスク着用などの衛生管理のほか、職場での一定の距離確保や体温測定、消毒、出張などに関する適切な対応が求められる。

トランプ大統領は会見で、ガイドラインはあくまで州知事を支援するもので、州・群のどの単位で実施するかを含め、再開の裁量は知事にある旨を強調した。大統領は4月14日の会見で経済再開に関する権限を自ら有すると発言していたが、その後ニューヨーク州のクオモ知事などが反発し、今回は州知事に裁量を譲るかたちとなった。ガイドラインの発表と同日、製造業が集積する中西部の知事は、経済活動の再開について、知事同士で調整するとの共同声明を発出し、北東部(ニューヨークなど)や西部(カリフォルニアなど)の知事も同様の声明を出した(注)。なお、米疾病予防管理センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は4月15日のテレビ取材に対し、19~20州では(新型コロナウイルスの)影響は限定的で、一部の州知事が再開準備に取り掛かるだろうとの考えを示している。

(注)各地域で知事が共同声明に合意した州は以下のとおり。

  • 中西部:イリノイ、インディアナ、ウィスコンシン、オハイオ、ケンタッキー、ミシガン、ミネソタ
  • 北東部:コネチカット、デラウェア、ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、マサチューセッツ、ロードアイランド
  • 西部:オレゴン、カリフォルニア、ワシントン

(藪恭兵)

(米国)

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