外出時のマスク着用が義務に、事業継続を認める企業も見直しへ

(シンガポール)

シンガポール発

2020年04月16日

シンガポール政府は4月14日、新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、同日から全ての人に対し、外出時のマスク着用を義務付けると発表した。原則として、2歳未満の幼児と2歳から6歳までの子供を除き、全ての人(ランニング時などは除く)に適用される(注)。着用しない場合は初犯で300シンガポール・ドル(約2万2,800円、Sドル、1Sドル=約76円)の罰金を科す。再犯すると高額の罰金と起訴もあり得るとしている。

同国では4月7日から5月4日まで、感染拡大抑止のための「サーキットブレーカー(回路遮断)」期間として、医療やスーパーマーケットなど生活維持に必要な店舗や、グローバルサプライチェーンに係わる物流や製造活動などの必須サービスを除き、全ての職場が閉鎖されている(2020年4月6日記事参照)。新型コロナウイルス感染対策タスクフォースの共同委員長を務めるローレンス・ウオン国家開発相は4月14日の会見で、「この期間中の事業継続が認められる必須サービスの企業リストを見直し、さらに絞り込む」との方針を示した。保健省は「人々を家にとどめ、(街の)人の動きを最小限とするためにも、仕事を続ける労働者を減らしたい」としている。事業継続を認める新たな企業の詳細については近日中にも発表する見通し。

さらに、政府は継続している事業会社に対し、労働者が支店間など国内の異なる場所を移動することを禁止した。ただし、ITサポートや訪問看護など複数の場所を回らなければならない必須サービス従事者については、他の人との間に十分な距離を設けるといった対策を求めている。

感染者が3,000人の大台に、外国人労働者の間に感染急拡大

シンガポールで4月14日までに確認された新型コロナウイルス感染者は累計で3,252人(うち、611人が回復、28人が重篤者、10人が死亡)となった。低熟練外国人労働者が頻繁に利用する商業施設や専用ドーミトリー、建設現場など約20カ所で感染クラスターが確認され、外国人労働者の間で感染が急速に広まっている。4月1~14日に確認された感染者は2,000人を超え、感染の勢いが加速している。

(注)マスク着用義務の具体的な運用については政府の国民向け広報ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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