外出禁止令の発令から1週間、経済への悪影響は甚大

(ナイジェリア)

ラゴス発

2020年04月10日

新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、ナイジェリア政府は3月30日、アブジャを含む連邦首都圏区(FCT)とラゴス州、ラゴス州の北に隣接するオグン州に対し、14日間の外出禁止を伴う閉鎖措置(シャットダウン)を発令した。ナイジェリア疾病管理センター(NCDC)が2月27日に国内初の感染者を確認して以降、4月8日時点で感染者数276人、うち退院44人、死者6人となった。地域別では、ラゴス州が最多で145人、続いてFCT54人となっている。政府要人ではアッバ・キャリ大統領首席補佐官が感染した。

人口密集地域における感染爆発、医療崩壊を未然に防ぐための閉鎖措置で、食料品店や医療施設、薬局、病院、ガソリンスタンドなど生活に不可欠な店舗・サービスを除いて休業し、バス、鉄道、航空機など交通機関も停止、国境や州境は封鎖された。集会の規模は25人を超えてはならず、これに違反して誕生日パーティーを開いた女優のファンケ・アキンデレ-ベロ氏が逮捕されるといった事態も起きている。ムハンマド・ブハリ大統領は全国の12級以下の公務員に対し、3月24日からの在宅勤務を要請し、民間企業も追従している。

写真 シャットダウンの影響で閑散としたラゴスのビクトリア・アイランド中心街(日系企業提供)

シャットダウンの影響で閑散としたラゴスのビクトリア・アイランド中心街(日系企業提供)

今回のシャットダウンで連邦政府はCOVID-19規則(COVID-19 Regulations 2020)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を施行した。ガソリンスタンド、燃料店、発電・送電、民間警備、銀行、ATM、食品加工・販売業、医療施設、医療機器製造業は営業できる。

ラゴス商工会議所のムダ・ユスフ事務局長は4月5日付Vanguard紙の取材に対し、今回のシャットダウンが経済に与える損失は、約1兆2,000億ナイラ(約31億6,000万ドル、1ドル=約380ナイラ)に上ると話した。現地で活動する日系企業からは、シャットダウンの影響で4月は売上がほとんど計上できない懸念があり資金繰りが心配、また為替レート切り下げに伴って外貨調達が困難になっていることから輸入者が信用状(L/C)を開設できないとの声が聞かれている。

【シャットダウンに至るまでのこれまでの経緯】

  • 2月27日 最初の感染者を確認。ミラノから入国したイタリア国籍の者
  • 3月19日 カノ、エヌグ、ポートハーコートの各空港の国際線旅客便を停止
  • 3月24日 首都アブジャ空港、ラゴス空港の国際線旅客便を停止。国内全空港の国際線が運休
  • 3月27日 すべての国内線旅客便が運休
  • 3月30日 午後11時よりFCT、ラゴス州、オグン州における14日間の外出禁止を含むシャットダウン発令

(谷波拓真)

(ナイジェリア)

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