フェイスブック、ジオ・プラットフォームズに約6,000億円の出資を発表

(インド)

ベンガルール発

2020年04月30日

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)世界最大手の米国フェイスブックは4月21日、インド地場財閥系通信会社のジオ・プラットフォームズへ約4,357億ルピー(約6,099億円、1ルピー=約1.4円)を出資し、同社の株式の9.99%を取得することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ジオ・プラットフォームズのグループ傘下には、2015年末から通信サービスを開始し、現在、インド国内トップの通信契約数を持つリライアンス・ジオ・インフォコムがある。同社は、他社と比べて格安の携帯料金が特徴で、携帯電話契約者数は、インドで約4億人近くに上る。また、2017年に販売を開始した4G(第4世代移動通信システム)端末のジオフォンは、3年間の保証金1,500ルピーを支払うことで、端末料金が実質無料と話題になり、農村部でも普及している。国内通信無料、SMS無制限利用で1.5GB/日の高速データ通信付きのプランは、199ルピー/28日間と世界最安値の通信料だ。フェイスブックは、ジオが持つデジタルプラットフォームを活用し、ネット販売ルートで中小企業向けの新サービスを打ち出す戦略だ。

この出資により、フェイスブックは、リライアンスグループ傘下の電子商取引ベンチャーのジオマートに、同社が運営するチャットアプリ「ワッツアップ」のプラットフォームが持ち込め、今後は互いのデジタルプラットフォームを活用しながら、相互の事業拡大に寄与することが見込まれる。さらに、共同で、中国のウィーチャットのような多機能アプリケーションの開発も視野に入れている。価格競争の激化により近年業績が芳しくなかったリライアンスグループにとって、今回の提携で同社の債務削減および収益性の改善が期待できる。

インド国内の携帯電話契約件数は約12億件近くに上る中、都市部と農村部の契約数割合もほぼ拮抗(きっこう)、国民は場所にかかわらず格安でインターネットにアクセスできる状況だ。このような市場規模を背景に、今後もスマートフォンを用いたネットビジネスの成長が見込まれる。

フェイスブック、ジオの両社は、膨大な顧客基盤および複数市場におけるシェアを有することから、今後は関係官庁の調査を受けた上で、正式な株式取得契約に移る見通しだ。

(遠藤壮一郎)

(インド)

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