サンフランシスコ市・郡、中小企業向けに1,000万ドルの支援基金を発表
(米国)
サンフランシスコ発
2020年04月08日
米国サンフランシスコ市・郡は4月2日、新型コロナウイルスの影響を受けた中小事業者向け支援として、1,000万ドル規模の中小企業救済基金(Small Business Relief Fund)の設立を発表した。
1,000万ドルのうち、900万ドルが緊急融資基金(Emergency Loan Fund)に充てられ、1件当たり上限5万ドルで、無利子の融資を受けることができる。同融資は、借り手の返済能力に基づき、柔軟な返済スケジュールが組まれる。融資対象企業は、(1)サンフランシスコ市・郡での営業許可を得ていること、(2)年間総収入が250万ドル未満であること、(3)25%以上の収入の減少を示すこと、などとなっており、4月6日より同市のウェブサイトから申し込みが可能だ。
残りの100万ドルは、3月11日にサンフランシスコ市長が発表した中小企業強靭(きょうじん)化基金(Small Business Resiliency Fund)の拡充に充てられる。同基金は3月11日の発表当初は100万ドル規模で、100社を超える中小事業者を対象に、1件当たり上限1万ドルの助成を行うとされていたが、同日の助成開始以降、既に2,000件以上の申請を受け取っているという。今回、100万ドルの予算が追加されたことで、基金は200万ドルに拡大し、200社を超える中小事業者が支援対象となる。中小企業強靭化基金の助成対象となるのは、上記融資基金の(1)~(3)の条件を満たし、かつ、(4)従業員数が1~5人の企業となる。
また、サンフランシスコ市・郡は3月17日、中小事業者向けの賃料の支払い猶予措置に関する行政命令を発表した。対象はサンフランシスコにおける営業許可を有する年間総収入が2,500万ドル未満の事業者となる。同命令では、借主が3月17日以降の期限の賃料を支払えなかった場合、借主が貸主から違反に関する書面による通知を受け取った日付から、少なくとも1カ月間の支払い猶予期間が確保される。借主は新型コロナウイルスに伴う「経済的影響」(注)により、賃料を支払えないことを貸主に書面で示すことにより、支払いの繰り延べについて貸主と協議ができる。ただし、借主が元々の家賃支払日から6カ月以上にわたって賃料を未払いの場合は、貸主は借主に立ち退きを求めることができる。
(注)経済的影響は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う営業時間の短縮や客数の減少、屋内退避令による一時的な店舗の閉鎖などによって、大きく営業収入が減少した場合を指す。
(石橋裕貴)
(米国)
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