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新型コロナウイルス感染ピーク時期の予測は困難

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年04月07日

ブラジルで新型コロナウイルス感染が急拡大を続けている。保健省は4月5日17時、感染者は1万1,130人、死亡者486人、感染死亡率4.4%と発表した(最新値外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

エンリケ・マンデッタ保健相は3月20日、感染は4月に急増するが、6月には感染拡大のスピードは鈍化し始めるだろうと予測した。同省のジョアン・ガバルド局長も「4月は厳しい月になる」と言及した。ただし、保健省は感染のピーク時期がいつになるかについては何ら明らかにしていない。4月4日付現地紙「グローボ」系のウェブサイト「G1」によると、専門家らは以下の理由でブラジルでの感染ピーク時期の予想は難しいと指摘している。

検査遅延で「感染時期」と「確認時期」に乖離

ブラジル政府の医療参照機関であるアドルフォ・ルッツ研究所では、1万6,000件の検体検査待ちが存在する。サンパウロ大学医学部で疫学者のパウロ・ロトゥフォ氏は、「これらを一度に検査すると1日で多数の感染が発生した事になるなど誤りが生じる」と指摘する。サンパウロ州立大学(UNESP)物理理論研究所の物理学者のビトール・スジブラッキ氏は、今後ブラジルが新たな感染急増局面に入っても、「検査の遅れで実態が把握できない可能性がある」と警告している。

不十分な病院の受け入れ態勢

保健省所管の医療サービス機関であるフィオクルス財団は4月1日、人工呼吸器不足により病院が患者を受け入れられない点を指摘している。同財団研究コーディネーターであるマルセロ・ゴメス氏は、「人工呼吸器不足による入院待ちを把握しないと実態が分からない」と説明している。

ピークは来ない可能性も

フィオクルス財団の報告書によると、最初にウイルス感染が確認され感染数が最も多いのはサンパウロ州とリオデジャネイロ州。その後ブラジリア、沿岸都市や東北部各州都市、内陸主要都市に広がっている。ロトゥフォ氏はさらに、「サンパウロ州で都市封鎖を解除しても他州からの流入で感染を誘発する可能性」も指摘している。

ロトゥフォ氏はまた、都市封鎖などの措置が効果を上げるほど、感染者数を表すグラフのカーブは「ピークのある山型とはならない」として、感染者数が多い状況が長く続く可能性を指摘している。

懸念高まるサンパウロ市の医療崩壊

他方、サンパウロ市における医療崩壊の可能性について、サンパウロ情報管理学校(FIAP)のディオゲネス・ジュスト教授をはじめとする国内外の大学・企業研究グループは、サンパウロ市内で利用可能な集中治療室(ICU)のベッド数を考慮すると、市内の医療崩壊がいつ始まるか以下のとおり予測を行っている。

  • 隔離措置が行わない場合は4月23日から。
  • 社会的接触が25%減少する場合は5月1日から。
  • 社会的接触が半分に減少する場合は5月17日から。
  • 社会的接触が65%減少する場合は6月17日から。

現地専門家は医療崩壊について、サンパウロ市とブラジルの他の地域でのシナリオが全く異なる可能性を指摘している。ロトゥフォ氏は「サンパウロ市以外の各都市は感染が遅れる間、同市の経験を活用できる一方、他の都市は人口当たりのICUベッドの保有比率や健康保険加入率が低いことが課題だ」と指摘。例えば、人工呼吸器の26%はサンパウロ市など国内5都市に集中している。

ブラジルのBCG接種率は87%

インペリアル・カレッジ・ロンドンは26日、ブラジル全人口の75%を自宅隔離する厳格な新型コロナウイルス感染防止強制措置を行う場合、死亡者は最大4万4,000人になると予想している(2020年3月30日記事参照)。一方、最近、一部専門家の間では、BCGワクチンと新型コロナウイルス感染予防との関連性が指摘されている。BCGワールドアトラス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ブラジルはBCGワクチン接種国でワクチン接種率は日本より低いが約87%となっている。

(大久保敦)

(ブラジル)

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