ジャカルタ首都圏と地方都市の人の移動を5月31日まで禁止

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年04月30日

インドネシア運輸省は4月24日、新型コロナウイルス感染症の国内での感染拡大防止の観点から、ジャカルタ首都圏などの感染拡大地域とそれ以外の地域の人の移動を5月31日まで禁止した。これにより、4月25日からスカルノハッタ国際空港における国内旅客便の運航は停止され、ジャカルタ首都圏と他地域を結ぶ主要道路には、警察などによる検問が設けられた。なお、国際航空便による人の移動や、国内の物資輸送は引き続き認められている。

インドネシアでは4月24日より断食月が開始された。例年、断食明け大祭には、約2,000万人が帰省・旅行のための移動を行うが、今回の移動規制は、こうした帰省や旅行による感染拡大防止を目的としている。運輸大臣規程2020年第25号では、大規模社会制限の実施地域や感染拡大指定地域(レッドゾーン)と他地域間の、車(二輪車含む)・鉄道・飛行機・船による人の移動を禁止した。この期間中、警察や国軍が、高速道路の出入り口や主要道路、空港、港湾などに検問を設けて監視を行う。更に5月7日以降、違反者には関連法令に基づく罰則が科せられる。物資輸送車や、救急車などの緊急車両は引き続き通行できる。また、外国人およびインドネシア人の帰国のための国際航空便による旅客輸送などは例外的に認められている。

商用の移動には規制運用上の配慮

同運輸大臣規程(添付資料参照)では、商用目的の国内移動に関する取り扱いの記載はないものの、運用上の配慮が見受けられている。日系企業が集積する西ジャワ州カラワン県の工業団地によると、4月27日時点で、バイパス道などの閉鎖はあるものの、ジャカルタ首都圏から同県への通勤は規制されていない。

他方で、地方に所在する日系企業にとっては、国内線の運航停止により、ジャカルタ経由の帰国が困難となっている例も見受けられる。コンパス紙は4月27日、ブディ・カリャ運輸大臣のコメントとして、商用で移動する必要がある人々のために、限定的に国内航空便の運航を認める可能性があることを報道しており、今後の動向が注目される。

(山城武伸)

(インドネシア)

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