オルバーン首相、経済アクションプランを発表、外出制限措置の無期限延長も決定

(ハンガリー)

ブダペスト発

2020年04月14日

オルバーン・ビクトル首相は4月6日、経済対策基金の設立と新たな経済アクションプランを発表。新型コロナウイルスによる経済への影響への対応として、雇用の保護・創出、影響の大きい産業への支援、経済回復に向けた資金提供など盛り込んだ。発表を受け、政府は7日、3つの基金(新型コロナウイルス対策基金、経済対策基金、EU疾病予防基金)を設立した。

うち経済対策基金の予算規模は1兆3,450億フォリント(約4,440億円、1フォリント=約0.33円)で雇用対策や企業支援などに充てられる。

パルコビッチ・ラースロー技術・革新相は7日の臨時記者会見で経済対策について説明。概要は以下のとおり。

(1)雇用維持

  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、従業員の労働時間が短縮された場合、減少賃金の7割(研究開発に関わる従業員は賃金の4割)を3カ月間補助。ただし従業員はその間も、企業に貢献する活動を行うことが推奨される。

(2)行政手続きの簡素化と税負担の軽減

  • 企業支援のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます設置。税務・法務・教育訓練等の情報提供・照会対応。
  • 7月以降社会貢献税の2%ポイント引き下げ(17.5%から15.5%)(2020年1月21日記事参照)。
  • 納税申告書の提出期限を9月末に延期
  • 電子貿易輸送管理(EKAER)システム保証金(食品等対象。正味価格の15%)の免除
  • 付加価値税(VAT)還付に要する期間の短縮(一般納税者については75日から30日に、
    優良納税者は30日から20日に短縮)。
  • 非常事態期間中の税金について、分割払い、繰り延べおよび減税等の相談を可能に。

(3)雇用創出

  • 雇用を維持する企業支援のため、技術開発、環境保護、エネルギー効率化関連事業の入札を合計数千億フォリント規模で実施。
  • 人材が不足するIT分野に関し、オンライン教育の受講料の95%を国が負担。求職者は無利子の教育ローンが利用可能。
  • 影響が大きい産業向け支援
  • 建設、物流、観光、文化・芸術、医療・健康、食品産業を対象に融資・助成金、減税を実施。
  • 2020年末まで観光税(宿泊者への課税)を免除。
  • 医薬品・医療機器メーカー向け支援。大学および企業の研究機関への資金援助。
  • 雇用者保護および外国企業による買収対策のため、企業向け低金利融資枠として約2兆フォリント、国による信用保証枠として5,000億フォリントを準備。

また、HIPAは、4月9日にウェビナーを開催PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、上記の経済対策のほか経済回復のため新規投資額の30~50%を補助する新たな投資補助金などについて説明した。補助金は返済不要、フォリントで全額事前支給される。対象は中小企業と大企業の双方で製造、ビジネスサービス・センター企業(鉄鋼業や輸出業など一部産業を除く)で、15万ユーロ以上の新規投資のうち、申請後に開始し2021年6月30日までに完了する案件。予算規模は500億フォリントを予定。申請条件は、申請者が2019年12月31日以降、新型コロナウイルスの影響により売り上げまたは受注が25%以上減少、かつ減少が保険等で補償されていないことを証明し、新規投資案件の完了まで既存事業を継続することなど。

また、ハンガリー政府は4月9日に、外出制限措置について期限を設けず延長すると発表した。ただし、同措置は毎週見直すことになっている。

(奥村明子)

(ハンガリー)

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