自動車産業の操業再開に向けた3カ国の共同計画策定を発表

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2020年04月27日

経済省は4月24日付でプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、北米の自動車産業の操業再開に向けて、事業所が順守すべき基準や指針、条件などを取り決める協議を米国およびカナダ政府と行うことを明らかにした。経済省は、自動車産業がメキシコだけでも100万人の正規雇用を生み出しているほか、その規模や地理的広がりも重要であり、大中小のさまざまな企業が広範なサプライチェーンを北米ワイドで形成していると、同産業の経済における重要性を強調している。他方でその規模から操業再開が健康の側面に与える影響も大きいため、パンデミックの中で人々の健康を守ることを最優先した戦略を構築しなければならないとしている。メキシコ政府はとりわけ労働者やその家族、コミュニティーの健康保護に重きを置いており、自動車産業の操業再開は秩序ある、段階的で、慎重なものとなるよう、複数の当局が監視するとしている。

経済省は、国内における感染状況、住民の特徴や健康状態、医療インフラの能力や制約などに地域的多様性や複雑性があるため、北米における自動車産業の操業再開はこの多様性や複雑性を反映し、科学的根拠に基づき3カ国のベストプラクティスを共有した内容にするとしている。同プレスリリースによると、3カ国政府は近日中に再開計画詳細を発表する。経済省は、自動車産業の操業再開が他の活動の操業再開に向けた先例になるとしているため、感染の少ない地域から段階的に、他の産業の5月18日よりも早い段階で操業再開が認められる可能性が高い。

国内外の要請が活発化

自動車産業の米国側の5月上旬の操業再開を視野に入れ、メキシコ側でも操業再開を求める要請が活発化している。4月17日には、メキシコ自動車工業会(AMIA)と自動車部品工業会(INA)、全国大型バス・トラック・トレーラー工業会(ANPACT)とINAがそれぞれ共同で操業再開を求める書簡をグラシエラ・マルケス経済相に送っている。同日には米国側において、米自動車政策評議会(AAPC)、米自動車イノベーション協会(AAI)、ヒア・フォー・アメリカ、トラック・エンジン協会(EMA)、米国自動車部品工業会(MEMA)の5団体が米国のマイク・ポンペオ国務長官に対し、メキシコやカナダにおける自動車産業の操業再開に向けた働きかけを要請している。

INAから4月24日夜に入手した情報によると、上記働きかけに加え、自動車産業集積州であるアグアスカリエンテス州やグアナファト州の知事からマルセロ・エブラル外相に対して自動車産業の米国との歩調を合わせた操業再開を求める声もあったため、エブラル外相とアルフォンソ・ロモ大統領府長官、保健省の代表、経済省の代表が4月24日に会合を開き、自動車産業の再開に向けて今後取り組むことで合意が形成されたようだ。

(中畑貴雄)

(メキシコ、米国、カナダ)

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