カナダの危険情報レベル引き上げ後も75%の日系企業は駐在員・家族の一時帰国の予定なし

(カナダ)

トロント発

2020年04月06日

新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、日本の外務省は3月31日、カナダを含む49カ国・地域に対し、感染症危険情報レベルを3〔渡航は止めてください(渡航中止勧告)〕に引き上げた。これを受けて、ジェトロは在カナダの日系企業に対し、駐在員やその家族を一時帰国させるかどうかについて緊急アンケートをした。アンケートはカナダ時間3月31日~4月2日に実施し、在カナダ日系企業79社から回答を得た。アンケート結果の概要は以下のとおり。

日本からの派遣駐在員がいるという回答企業(73社)の75.3%が「現時点では駐在員および家族の一時帰国の実施の予定がない」との回答だった。理由としては、「一時帰国した場合、いつ戻れるか見通しが立たない(21.2%)」「日本の新型コロナウイルスの流行状況がカナダと比較して安全とは言えない(17.3%)」「業務上、駐在員が残る必要がある(16.5%)」「日本への移動時の感染リスクを避けるため(16.1%)などの回答が多かった(複数回答)。

「すでに、一部の駐在員および家族を帰国させている」「今回の外務省の危険情報レベルの引き上げを受け、実施を決めた」との回答はそれぞれ4.1%だった。

他方、今回のアンケートを実施している中で、回答企業からあった問い合わせの1つに、「ワークパーミットの延長を申請しているものの発給に時間がかかっており、オンタリオ州の医療保険証の更新ができない」というものがある。今回の新型コロナ感染対策などで移民省も多忙を極めており、通常以上にワークパーミットの手続きにも時間がかかっている。また、オンタリオ州の保険証の更新窓口であるサービス・オンタリオの窓口も閉鎖されている。この点、オンタリオ州政府は、期限の切れた保険証であっても引き続き使用できると発表している。また、新型コロナウイルス関連の検査や治療は、オンタリオ州の保険証の有無にかかわらず無料で受けることができる(オンタリオ州政府2020年3月20日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。

ジェトロが実施したアンケート結果の全文は「在カナダ日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急アンケート調査結果(帰国状況など)」PDFファイル(1.2MB)から閲覧できる。

(酒井拓司)

(カナダ)

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