UAEが渡航制限を強化、外国人は2週間の入国禁止に

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2020年03月19日

アラブ首長国連邦(UAE)は3月19日未明、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念を受け、同国居住ビザ保持者に対しても海外からの入国を制限することを決めた。外国人はUAEへの入国が原則不可能となる。この制限は19日正午から2週間までの措置だが、延長される可能性もある。 UAEはこれまで、17日に外交旅券を除くすべての新規入国ビザを発給停止し、また19日からはビザの事前申請免除国の国民の入国禁止、未使用の取得済ビザの無効化などの渡航制限措置をすでに発表しており、さらに厳格化を進めたかたちだ。あわせて労働許可証の新規発行も停止されるが、ドバイ万博に関連する業務と国内での転職に関するものは対象外となる。

外国人が国内人口の約9割を占めるUAEでは、ビジネスへの影響は必至だ。アブダビ、ドバイでは観光施設や映画館、スポーツ施設などが次々に閉鎖され、観光活動も3月末まで停止されている。ショッピングモールなどの商業施設は閉鎖措置まではとられていないものの、平時は常に観光客でにぎわうドバイ・モールも閑散としている。同モール内のキッザニアやアイススケートリンク、ゲームセンターなどの娯楽施設、隣接する高層ビル「ブルジュ・ハリファ」の展望台も営業停止となっている。

日系企業の活動にも影響が出ている。ドバイに拠点を構えるほとんどの日系企業が海外出張の自粛はもとより、社外での面談を電話やテレビ会議に切り替えるなどの対応を行っており、在宅勤務を始める企業も増えつつある。このタイミングでの入国制限と新規ビザの発給停止により、4月に赴任を控える社員の渡航とビザ手続きが進められず、円滑な人事異動が難しくなっている。この状況が長期化した場合の売上げ減少や、アジアの工場が閉鎖されたことにより製品が輸入できず、品切れを起こしてしまうなどの懸念も聞かれており、影響は広範囲にわたると予想される。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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