日系含むベイエリア企業、新型コロナウイルスへの対策進める

(米国)

サンフランシスコ発

2020年03月11日

米国での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、カリフォルニア州ベイエリアの企業が対策に追われている。ジェトロがベイエリア日系企業関係者を対象に調査(回答者29人)(注1)したところ、シリコンバレー拠点の対応状況(複数回答)として、「オフィス内の消毒液の設置」(17人)と「日本・シリコンバレー間など海外出張を控えている」(17人)が最も多く、次いで「海外のイベント参加を控えている」(11人)、「在宅勤務の導入」(5人)、「米国内の出張を控えている」(4人)などが挙がった。「特段の対策を取っていない」は5人だった。そのほか、ジェトロの個別ヒアリングでは、「日本を含め海外出張は禁止している。米国内での出張は禁止していないが、展示会など人が多く集まるイベントへの参加は原則禁止している」や「米国疾病予防管理センター(CDC)の注意レベル2以上の国(日本を含む)から帰国した者、家族が来訪もしくは帰国した者、来訪した者と面談した者は2週間の在宅勤務」などの対応をしていると回答する企業もみられた。

ベイエリアのテック企業も、対策を打ち出している。ツイッターは3月2日、社員の健康と安全を守るため、同日から全世界の全ての社員に在宅勤務を強く奨励することを発表した。そのほか、フェイスブックやアップルなど、従業員に在宅勤務を奨励するテック企業が相次いでいる。また、複数の現地報道によると、フェイスブックやツイッターは、3月にテキサス州オースティンで予定されている音楽・映画・イノベーションの祭典「サウス・バイ・サウス・ウェスト(SXSW)」への参加を見送った(注2)。

ベイエリアでの感染拡大で地域経済への影響も

ベイエリアの感染者状況に関して、各地の公衆衛生当局によると、現時点で、サンタクララ、サンマテオ、ソラノ、アラメダ、ソノマなど各郡で感染者(推定者を含む)が確認されている。また、サンフランシスコ市・郡でも、3月5日に2人の住民の感染が発表された。報道によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ベイエリアでは休校になる学校も出ている。

こうした状況の中、ベイエリアの地域経済への影響もみられる。ベイエリアのレストラン関係者が加盟するゴールデンゲート・レストラン協会(Golden Gate  Restaurant Association)にジェトロが話を聞いたところ、コロナウイルスによる予約のキャンセルや売り上げの落ち込みを懸念するレストラン関係者は多く、実際に多くの飲食店の客足が遠のいているという。

そのほかの影響については、表参照。

表 新型コロナウイルスの影響

(注1)2020年2月27日実施。

(注2)オースティン市は3月6日にSXSWの中止を発表した。イベントが行われないのは34年間で初めて。

(石橋裕貴)

(米国)

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