新型コロナウイルス対策として、総額1,000億リラの経済支援策を発表

(トルコ)

イスタンブール発

2020年03月24日

エルドアン大統領は3月18日、閣僚および各界の代表者を交えた新型コロナウイルス(COVID-19)対策会議を行った。大統領は国民に外出の自粛を求め、政府の対策に従い衛生的な生活を送れば、3週間で生活の規制は終了すると強調した。また経済対策として、総額1,000億リラ(約1兆7,000億円、1リラ=約17円)規模の支援策「経済安定の盾」を発表し、企業や年金受給者に対する支援を実施することを明らかにした。

主な内容は、4~6月にかけて3カ月間の時限措置で、ウイルス被害を想定した小売り、ショッピングモール、鉄鋼、自動車、物流(輸送)、映画館、宿泊施設(宿泊税は11月まで免除)、食品・飲料、繊維・衣料品、イベント運営などの業種への付加価値税(VAT)や社会保障積立などの納税の猶予措置や、リース代・ローン支払いの延期などの金融支援、輸出関連企業や中小企業に対する流動性(融資)支援などが提示された。また大統領は、雇用維持に向けて民間金融機関にも融資および返済条件について柔軟に対応することを求めた。

また雇用者側への支援として、労働法上での労働環境対応基準を柔軟化し、在宅勤務をより効率的に行えるようにするとした。短期労働手当の補助実施に向けたプロセスが促進され、稼働停止を余儀なくされる企業の従業員の給料の一部を一時的に負担し、雇用主のコストを削減することなどが盛り込まれた。

その他、年金受給額の引き上げや、貧困層家族への給付金(総額20億リラ)、住宅ローン優遇措置、80歳以上の独居高齢者向けの在宅医療サービスの提供や定期健康診断の実施などの支援も行われる。

なお、こうした大統領の支援策に対しては、企業や年金受給者への対応はなされているが、従業員支援策のパッケージが十分ではない、失業者対策が含まれていないといった批判の声も出ている。

(中島敏博、エライ・バシュ)

(トルコ)

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