新型コロナウイルス感染拡大予防に関する緊急措置を実施

(ギリシャ)

ミラノ発

2020年03月26日

ギリシャでも新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がっている。ギリシャ保健省は2月26日、イタリアへの渡航歴があるギリシャ人女性(テッサロニキ在住)が新型コロナウイルスに感染したことを発表。国内で初の感染例となった。その後感染者は増加し、3月24日の発表では、国内全体における感染者数は695人で、前日に比べ新たに71人増えた。なお感染者のうち半数以上は、首都アテネで確認されている。

ギリシャ政府は新型コロナウイルス感染拡大を最小限に抑えるため、3月10日から逐次緊急の措置を発表している。以下、同措置の大まかな流れを紹介する。

3月10日:公立、私立の全ての教育機関を3月11日から3月24日まで閉鎖。なお、3月21日にギリシャ教育省は、本措置を4月10日まで延期することを発表。

3月12日:裁判所などの司法関連施設、劇場、映画館、娯楽施設、ジムや屋内プールの運営を3月13日から3月27日まで禁止。

3月13日:国内全ての古代遺跡、博物館、美術館などの文化施設を3月14日から3月27日まで閉鎖。また、ショッピングモール等大型商業施設、レストラン、カフェ、バーなどの飲食店(デリバリーは除く)、美容理髪店などの商業施設も同期間は営業禁止。

3月15日:イタリア、スペイン、アルバニア、北マケドニアとの航路、海路、陸路などを3月15日から4月15日まで閉鎖。

3月16日:

  • ギリシャ政府副スポークスマン、アリストテリア・ペロ二氏は、出発国を問わず、ギリシャへ入国する全ての者に対し、14日間の自宅などでの強制待機を要請する旨を発表。
  • なお、3月16日に行われたユーロ圏財務相会議(ユーログループ)では、新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響を考慮し、感染対策のために行われた財政出動に関しては、財政規律を一時的に除外する事を決定。これにより、ギリシャは2020年の基礎的財政収支をGDP比3.5%の黒字にするという達成義務は免除されることとなった。

3月17日:

  • スーパーマーケット、食料品店、医療サービス、ガソリンスタンド、銀行、郵便サービス、電子取引サービス、通信業を除く全ての小売店の営業を3月18日から3月31日まで停止。
  • 3月18日午前6時から4月18日午前6時まで、EU並びにシェンゲン加盟国市民以外のギリシャへの入国を禁止。

3月18日:10人以上のグループが公共の場に集う事を禁止することを発表。措置の適用は19日から。違反した場合は1人当たり1,000ユーロの罰金が科せられる。

3月19日:一部を除く国内全ての通年営業のホテル、宿泊施設の営業を3月23日から4月末まで停止。

3月20日:

  • ヤニス・プラキオタキス海運・諸島政策相は、3月21日午前6時より、島へのフェリーでの移動は島の居住者と、島からの帰還を希望するものに制限すると発表。
  • ギリシャ財務省は、経済活動の停止を強いられた自営業者等140万人に対し、800ユーロの臨時手当てを直ちに支給する方針を発表。

3月22日:キリアコス・ミツォタキス首相が国営テレビで外出禁止令を宣言。これにより、23日からは必要最低限以外の外出は禁じられ、違反すると150ユーロの罰金が課される。

(井上友里、山崎杏奈)

(ギリシャ)

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