新型コロナウイルス感染急増、フランス政府は中小企業向け支援を発表

(フランス)

パリ発

2020年03月05日

フランス公衆衛生局の発表によると、フランスにおける新型コロナウイルスの感染者は212人、死亡者は4人となった(3月3日現在)。感染者は、3月1日の発表から2日間で82人増えた。北部オー・ド・フランス地域圏オワーズ県やオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏などの複数の市町村で集団感染が発生している。

政府は2月29日、コロナウイルス感染が新たな段階に入ったとして、感染拡大防止に向け5,000人以上の集会を禁止するなど対応を強化した。これにより、パリで開催中だった農業見本市が前倒しで閉会されたほか、3月1日に予定されていたパリ・ハーフマラソンも中止になった。カンヌで3月10~13日に開催の予定だった国際不動産見本市は、6月に延期された。

感染者の急増に伴い、コロナウイルスが経済に与える影響への懸念も強まっている。ブリュノ・ルメール経済・財務相は3月2日、公共テレビ放送フランス2のインタビューで、コロナウイルスのフランスのGDP成長率への影響について0.1ポイント減としているが、感染が国内で広がれば、下げ幅はこれを上回るとの認識を示した。

ホテルやレストラン、空輸、イベント業界を中心に影響が拡大しているとし、企業支援、特に中小企業支援に全力で取り組むとした。具体的には、コロナウイルスを理由とした一時帰休制度の利用を認める、法人税・社会保険料支払いの分割納付を認める、フランスの公的投資銀行BPIフランスがコロナウイルスの影響で運転資金に窮した中小企業の貸し付けに信用保証を供与する、政府調達に参加している企業に対し納入遅延に関わるペナルティーを課さない、などが柱となる。

ルメール経済・財務相はさらに3月3日、欧州中央銀行のラガルド総裁とコロナウイルスに対する経済・金融政策について電話会談を行い、G7およびユーロ圏レベルで、強力かつ協調した対応策を求めることで合意したことを明らかにした。

パリにあるOECDは3月2日、コロナウイルスの影響を理由に、2020年のフランスのGDP成長率見通しを0.9%に下方修正した。

(山崎あき)

(フランス)

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