クレタ島イラクリオン新国際空港の建設開始、経済効果に期待

(ギリシャ)

ミラノ発

2020年03月03日

ギリシャ南部、地中海に浮かぶクレタ島のカステリで2月8日、イラクリオン新国際空港の起工式が行われた。空港施設や整備施設への総投資額は10億ユーロ(建設コスト自体は4億8,000万ユーロ)に上り、加えて約7,000人の雇用を創出するとされており、新空港の開発プロジェクトに期待が高まっている。

年間利用客数が810万人を超える既存のイラクリオン国際空港は、国内ではアテネ国際空港に次ぐ規模に成長し、需要に対応しきれなくなりつつあった。国際線で到着する利用客数についてみれば、1994年時点では177万人だったのに対し、2018年には333万人とほぼ倍増している。

新空港は着工から54カ月後(4年6カ月後)に試験運用開始の予定で、欧州航空安全機関(EASA)、国際民間航空機関(ICAO)ならびに国際航空運送協会(IATA)のセキュリティ基準に沿って建設される。3,200メートルの滑走路を2レーン備え、27機分の駐機スペースを完備、さらに1,500万人の乗客を収容できるキャパシティを備える。

新空港は、ギリシャ政府および建設工事を担うギリシャの建設大手GEK TERNA、インドの総合インフラ開発企業GMRグループ傘下のGMRエアポーツを株主とする(注)。空港運営権は35年間にわたってGEK TERNAとGMRエアポーツが保有し、収益の2%が毎年、ギリシャ政府に還元される見通しだ。

キリアコス・ミツォタキス首相は起工式で、「イラクリオン新国際空港は、国内で最も近代的で環境に優しい最高の空港になる」「新空港は東地中海の中心に位置し、欧州や中東の主要な首都から4時間以内で到着可能という立地により、クレタ島は年間を通して観光地としてにぎわい、そして交通面でもハブ空港として機能するだろう」と述べた。

また、欧州投資銀行は、イラクリオン新国際空港建設プロジェクトを支援するため、ギリシャに対し1億8,000万ユーロを融資することを、1月23日に発表している。

(注)持ち株比率は、ギリシャ政府が45.9%、GEK TERNAが32.46%、GMRエアポーツが21.64%。

(井上友里、山崎杏奈)

(ギリシャ)

ビジネス短信 effc27267787b520