2019年第4四半期GDP成長率は前期比0.5%、山火事や新型コロナウイルスの影響はまだ表れず

(オーストラリア)

シドニー発

2020年03月09日

オーストラリア統計局(ABS)は3月4日、2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前期比で0.5%、前年同期比で2.2%と発表した。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の経済見通しでは前年同期比2.0%と予測されていたが、それを上回る結果となった。2019年通年での実質GDP成長率は1.9%となった。

2019年第4四半期の需要項目別の実質GDPを前期比でみると、民間住宅は3.4%減と6四半期連続で落ち込み、公的資本形成も0.4%減となり、国内総固定資本形成は1.0%減となった(添付資料表1参照)。また、財貨・サービスの輸出はほぼ変わらず、輸入は0.5%減となった。他方、政府最終消費支出が0.7%増、民間最終消費支出が0.4%増となり、全体ではプラス成長を達成した。

産業別にみると、建設業が前期比2.3%減となったが、輸出の好調と在庫の増加に支えられて鉱業が1.6%増となったほか、不動産業(2.7%増)、製造業(2.3%増)、運輸・郵便・倉庫業(2.0%増)、医療サービス業(1.7%増)などが増加した(添付資料表2参照)。

今回の結果によって、オーストラリアは景気後退(2四半期連続のマイナス成長)がない期間の世界最長記録を114四半期に更新した。ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「ほかの先進国には見られない記録であり、オーストラリア経済の強靭(きょうじん)さが示された」と評価した。一方で、2019年第4四半期の時点では山火事や新型コロナウイルスの影響は表れておらず、「山火事による国内経済への影響によって、2020年第1四半期(1~3月)の成長率は約0.2ポイント引き下げられるだろう」との見方を示した。

さらに、フライデンバーグ財務相は、新型コロナウイルスは世界経済に深刻かつ継続的な影響を及ぼしているとして、「オーストラリアでは観光や教育、輸出産業への影響が大きく、サプライチェーン全体を混乱させているが、連邦政府はターゲットを絞り、測定可能かつ拡張性の高い財政政策の実施に向けて取り組んでいる」と述べた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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