個人事業主やインフォーマルセクター労働者に1万ペソ給付

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年03月26日

マルティン・グスマン経済相とクラウディオ・モロニ労働相は3月23日、新型コロナウイルスによるアルゼンチン経済への影響をとどめることを目的とした経済対策の追加策として、個人事業主やインフォーマルセクターの労働者に対して1万ペソ(約1万7,000円、1ペソ=約1.7円)を給付することを発表した。

政令310/2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます号では、緊急家庭収入(EFI)として、今回の新型コロナウイルスの影響の被害に対して脆弱(ぜいじゃく)とされる個人事業主やインフォーマルセクターで従事する労働者などに対して、4月に1万ペソを給付するとしている。給付は4月限りとしているが、今後の経済情勢等を見極めて、5月に追加支給を行う可能性も残されている。今回の政策によって、約360万世帯が恩恵を受ける見通しだ。

アルゼンチンでは、2019年上半期時点で貧困率が35.4%を占める。2019年12月に発足したアルベルト・フェルナンデス政権では、IMFとの債務再編交渉において、低所得者層に対する取り組みを重点課題に入れている。

3月から顕在化しつつある新型コロナウイルスによる経済面でのインパクトについて、調査会社エコラティーナは2020年の実質GDP成長率の見通しを、最善シナリオ(外出禁止令が1カ月にとどまり、債務再編交渉が成功裏にまとまる)であっても、マイナス2.9%まで落ち込むとしている。経済再建を目指すフェルナンデス政権は、新型コロナウイルス対策と債務再編交渉という2つの大きな課題に直面している。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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