新型コロナウイルスの感染者増を受け、米イリノイ州が非常事態を宣言

(米国)

シカゴ発

2020年03月12日

イリノイ州のプリツカー知事は3月9日、州内の新型コロナ感染者が11人に達したことを受けて非常事態宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。プリツカー知事は9日に行われた記者会見で「非常事態宣言により州と連邦政府の様々な施策を活用できるようになり、今後の感染拡大に備えることができる」と述べた。非常事態宣言により州政府は州内全ての機関を連携させて必要な医療リソースを配分できるようになる。

同知事は「イリノイ州にはシカゴ市、州都スプリングフィールド市、カーボンデール市にそれぞれ検査機関があり、現在必要な検査に十分対応できる。また今週中に検査実施能力を拡大して今後の需要拡大に備える」と述べた。

9日に新たに4人の感染が発表され、州内の感染者は計11人となった。州内では2020年1月に中国武漢市から帰国したシカゴ市に住む女性とその夫の感染が確認されて以降(2020年2月3日記事参照)、イタリアからの帰国者、クルーズ船の乗客などの感染が確認されていた。7人目の感染者はシカゴ在住の60代男性で、先の6人との直接的な接触がないことから、州公衆衛生局は市内感染の最初の症例とみなしている。9日に感染が確認された4人のうち、50代と70代の女性はクルーズ船「グランドプリンセス号」の乗船者だった感染者の家族であった。また、1名はカリフォルニア州からの旅行者である50代の女性、もう1名は、複数の感染者が発生したエジプトのクルーズに参加していた70代の女性だという。なお、イリノイ州では新型コロナウイルスによる死亡は報告されていない。

州公衆衛生局の担当者は「現時点ではイリノイ州での感染が拡大しているわけではないが、感染が拡大した際の影響を抑える必要がある」と述べた。州内ではこれまで200人以上が検査を受けている。

(河内章、大土萌子、飯田桃子)

(米国)

ビジネス短信 edab86233679c710