2月までの対中輸出額では新型コロナウイルスの影響は確認できず

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年03月09日

ブラジル経済省は3月2日、2月の中国(香港、マカオを含む)向けの輸出額が前年同月比20.9%増の47億2,400万ドルだったと明らかにした。アジア向け全体では27.3%増の69億6,700万ドルだった。

経済省は、ブラジルの主力輸出産品の鉄鉱石や石油、大豆、トウモロコシ、食肉、オレンジジュース、コーヒーといったコモディティーの輸出額と輸出量、平均輸出価格の動向を毎週発表している。

新型コロナウイルスによる対中輸出への影響について、経済省は「現時点では確認できない」としている。ブラジルが2月に中国に輸出した鉄鉱石などのコモディティーは数カ月前に取引契約が締結されているからだ。なお、2月に増加した要因として、中国の春節(旧正月)が挙げられる。2020年の春節は1月だったが、2019年は2月だったため、「春節時期の中国での稼働率が下がり、2月のブラジル輸出額が前年同月比大きく増加した可能性がある」と、経済省のエルトン・ブランダウン貿易戦略統計局長は分析している。

ブランダウン局長はまた、新型コロナウイルスが輸出に与える影響として「2月は影響があったかもしれないが、集計値に現れるレベルではなく、3月以降に影響が出るかもしれない」と語っている。経済省は新型コロナウイルスの食肉業界への影響に関して、2月初旬に中国の港で貨物の積み下ろしが困難になった報告があったが、鉄鉱石採掘業者や大豆生産者からは物流上の問題は現時点にはないとの報告を受けていると明らかにした。

なお、1月の中国向け輸出額は前年同月比9.3%減となっている。1~2月の累積輸出額は前年同期比5.5%増の84億400万ドル、アジア向け全体の1~2月の累積輸出額は10.2%増の129億7,400万ドルとなっている。

(大久保敦)

(ブラジル)

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