米ワシントン州で新型コロナウイルスによる死者が6人に、州知事は緊急事態宣言

(米国)

サンフランシスコ発

2020年03月05日

米国ワシントン州シアトル・キング郡の公衆衛生局は3月2日、同郡で新型コロナウイルス感染による死者が5人になったと発表した。同日にはスノホミッシュ郡でも死者が1人確認され、ワシントン州での死者は合計6人となった。

シアトル・キング郡では2月29日に米国で初の新型コロナウイルス感染による死者が確認されていた。同日に記者会見した郡公衆衛生局の担当官によると、死者は外国への渡航歴がなく、地域で人から人へ感染したと推定されるという。会見では、感染事例の80%は症状が穏やかだが、重篤になる事例もみられることや、感染がさらに拡大した場合に大型の公共イベントなどの中止を求める可能性があることなどを説明した。また、検査態勢について、民間の研究施設の活用などで現在1日当たり200件の検査能力をさらに高めることも検討しているという。

ジェイ・インズリー・ワシントン州知事は2月29日、新型コロナウイルスに対応するため、州の機関に感染拡大への準備や対応に全てのリソースを使うよう指示する緊急事態宣言を行った。

米国西部では、オレゴン州でも2月28日に初めて新型コロナウイルスの感染者を確認して以降、3月2日時点で3人の感染者が確認されている。オレゴン州保健局の発表によると、このうち2人は感染が確認された国・地域への渡航歴がないことから、地域内での感染とみられている。もう1人は最初の感染者の同世帯者。保健局は感染者との潜在的な接触者を調査している。

米国内の感染者状況に関して、米国疾病予防管理センター(CDC)によると、3月2日現在、(1)渡航に関連した感染事例17件、(2)人から人への感染事例26件、(3)米国への送還者の感染事例48件となっている(注)。感染者が出ている州は、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、アリゾナ、ウィスコンシン、イリノイ、ニューヨーク、マサチューセッツ、ロードアイランド、フロリダの10州に上る。

(注)推定事例を含む。

(石橋裕貴)

(米国)

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