在外フィリピン人による不動産投資信託に税制優遇措置

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月02日

フィリピン内国歳入庁(BIR)は、在外フィリピン人がフィリピン国内の不動産投資信託(REIT)に投資する際の、配当利回りへの源泉徴収税や個人所得税を、7年間免除することを規定した歳入規則を1月20日に施行した。

国民の10人に1人に当たる約1,000万人が海外に居住するフィリピンでは、在外フィリピン人からの送金額が国内経済に及ぼす影響は大きく、その送金額はGDPの約1割に相当する289億4,300万ドル(2018年実績)に達する。3兆円近いこうした送金がフィリピン国内の消費市場を活性化させ、2012年以降8年連続している5%以上の経済成長にも貢献している。

フィリピン財務省(DOF)のカルロス・ドミンゲス長官は、今回の歳入規則によって、多くの在外フィリピン人がフィリピン国内への送金後の余裕資金を銀行の預金よりも利回りの良いREITに投入することが見込まれるとし、2009年のREIT法の施行後低迷していたフィリピン国内のREIT市場の活性化につながるとした(「インクワイアー」1月24日)。

フィリピンのREITの投資対象は、住居やオフィス、ホテル、ショッピングモールに加えて、高速道路や通信塔、病院、物流倉庫、発電所といったインフラも含まれ、国内のインフラ施設の開発・運営のための資金調達手段の1つとしてREITが活用される。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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