UAE中銀、ドバイ政府が経済刺激策を発表

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2020年03月24日

新型コロナウイルスの世界的拡大を受け、アラブ首長国連邦(UAE)国内にも懸念が広がる中、UAE中央銀行は3月14日、総額1,000億ディルハム(約2兆9,180億円、1ディルハム=約29.18円)に上る経済刺激策を発表した。総額のうち半分の500億ディルハムは中銀が拠出し有担保・無利子で民間金融機関に供給、残りは民間金融機関の資本バッファー(注)から充当され、総額をキャッシュフローに懸念が生じる在UAE企業や個人に対して、最長6カ月の貸し出しを行う。国内の民間金融機関は保有する資本保全バッファーの60%、中銀による指定銀行は100%を上限に同貸し出しに充当する。2008年に発生した金融危機の経験から、国内の資本流動性を確保する施策を機動的にとった格好だ。

ドバイ政府も3月12日、15億ディルハム(約438億円)規模の経済刺激策を発表している。各種行政手続き手数料の免除や公共電気・水道料金の10%割引などの施策が今後3カ月にわたり実施される。現地各紙報道によると、主な施策は次のとおり。

  • ライセンス取得および更新時に商業施設に課される2.5%のマーケット・フィーの凍結。
  • 輸入品に対する通関手数料の20%返還。
  • 通関に必要な5万ディルハム(約146万円)の銀行保証または現金預託の中止(支払済の場合は返還)。
  • 税関に提出する書類にかかる手数料の90%割引。
  • 税関への苦情申し入れ時に課される銀行証書の提出義務を撤廃。
  • UAE登録の木造商用船に対する係留サービス料、ドバイ港湾およびハムリヤ港の荷揚げ手数料の免除。
  • ビジネスライセンスの新規取得および更新時に政府に支払う手数料の25%割引。
  • 商業ライセンス更新条件から、賃貸物件更新契約書の提出義務を除外。
  • ホテルの売上に課されるドバイ政庁手数料(Municipality Fee)を3カ月間7%から3.5%に引き下げ。
  • 2020年に開催される観光、スポーツ関連イベントの延期・中止にかかる手数料を3カ月間免除。
  • ホテル格付けに係る手数料を3カ月間凍結。
  • 住居用、商業用、産業用物件に係る公共電気・水道料金を3カ月間10%値下げ。
  • 公共電気・水道使用開始時に支払う接続費預託金を50%値下げ。

(注)金融危機に備え内部留保を促すため、バーゼルIII合意以降導入された「資本保全バッファー」「カウンター・シクリカル・バッファー」「G-SIBs バッファー」および「D-SIBs バッファー」を含む。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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