経済分析局、新型コロナウイルスの影響で2020年はマイナス成長と予測

(オランダ)

アムステルダム発

2020年03月30日

オランダ経済政策分析局(CPB)は3月26日、新型コロナウイルスのオランダ経済への影響を4つのシナリオを用いて予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料参照)。

それぞれのシナリオは、身体的な接触が制限される期間と経済への影響の厳しさが異なる。ただ、全てのシナリオで景気後退となり、2020年のGDP成長率はマイナス1.2%からマイナス7.7%の間に低下する。最もマイルドなシナリオでは、2020年の第3四半期には早くも回復することになる。一方、最も深刻なシナリオでは、金融セクターを含めて問題が拡大し海外の状況も悪化し続け、2021年においても成長率がマイナス2.7%となることを予想している。また4つのシナリオのうち、3つのシナリオでは、2008年から2009年にかけての金融危機よりも景気の悪化が深刻になる。

CPB局長ピーター・ハセカンプ氏は「新型コロナウイルスは健康に対する危機で、まん延を防ぐ対策が必要だが、経済にも大きな影響を与える。ただ、不確実性が多々あり、現在のさまざまな措置が効果を持ち続けるものなのか予断を許さない状況だ。また、これらの措置は、これまで実施されたことがないため、経済への正確な影響も分からない。身体的な接触が規制される期間が長いほど、その影響はさらに深まり、金融システムに問題が発生する可能性が高まり、他国でも深刻な景気後退の可能性も高まるので、経済回復がさらに遅れることとなる」と指摘した。

最もマイルドなシナリオでは、2020年の失業率は4.0%とわずかな上昇にとどまるが、最も深刻なシナリオでは2021年に9.4%に達すると予測されている。ハセカンプ氏は「政府の政策は解雇と倒産を限定的にすることを目的としている。これは負のスパイラルと永続的な経済的損失の両方を防止すると思われる。しかし、政府の支援は経済的な打撃を部分的に和らげることができるだけで、危機が長引くほど、経済的損失は大きくなる」と述べた。

CPBは、「経済を支える緊急措置は、あらゆるシナリオの下で財政の急激な悪化を引き起こす。最悪のシナリオでは2021年末までに政府累積債務はGDPの73.6%になるが、それでも政府債務のレベルは危険水域からほど遠く、直接的なリスクはない」との見解を示した。

(高橋由篤)

(オランダ)

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