2022年までのIT-BPM産業の成長率は最大6.2%、医療情報管理とアニメ、ゲーム開発が成長牽引

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月10日

フィリピンITビジネス・プロセス協会(IBPAP)は2月10日、2020~2022年のフィリピンのIT-BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)産業の年平均成長率(CAGR)の目標を2.7~6.2%とし、医療情報管理サービスとアニメーション、ゲーム開発が成長を牽引すると予測した。2月11日付の「ビジネスワールド」など地元各紙が報じた。

2020~2022年の業種別CAGR目標は、コールセンターとビジネス・プロセシングが3.3~7.4%、ITとソフトウエア3.2~6.7%、業務委託センター3.2~5.2%、医療情報管理サービス7.3~10.8%、アニメーションとゲーム開発7.3~12.3%としている。コールセンターやIT、業務委託センターはIT-BPM産業の中でも市場規模は比較的大きいが、フィリピンでは近年、医療情報管理やアニメ、ゲーム開発の分野における世界での競争力が高まっており、向こう3年の業界の成長ドライバーとなるとした。

IBPAPは、業界全体の被雇用者数の2020~2022年のCAGR目標を3.0~7.0%、2022年までに被雇用者数は142万~157万人に達するとした。業種別の被雇用者数のCAGR目標は、コールセンターとビジネス・プロセシングは2.8~6.7%、ITとソフトウエア2.7~6.2%、業務委託センター2.7~4.7%、医療情報管理サービス6.8~10.2%、アニメーションとゲーム開発6.8~11.7%と設定している。

ドゥテルテ大統領は2019年6月、地方の雇用促進や産業育成を図るため、マニラ首都圏での経済特区新設停止を命じる行政命令を出した。これにより、首都圏外へのIT-BPM業界の進出加速が見込まれる一方で、首都圏外の十分なITインフラやオフィス環境など各種インフラの整備が進んでいないことがIT-BPM産業の成長の阻害要因の1つとされる。

また、経済特区の1つであるPEZAに入居するIT-BPM企業は、法人所得税の3~6年間の免除(ITH)と、ITH終了後は売上総利益の5%を法人所得税とする特別所得税率が現在適用されているが、現在国会で審議されているCITIRA法案が可決され、特別所得税率を撤廃して通常の法人所得税(30%)が適用された場合、法案成立後2~3年間は税負担額が2.3~2.7倍に膨らむとされている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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