セブン銀行がフィリピンでATM事業開始、数年以内に全店舗に設置へ
(フィリピン)
マニラ発
2020年03月04日
セブン銀行は、フィリピン子会社のピト・AxM・プラットフォームが、フィリピン最大手コンビニエンスストアのフィリピン・セブン・コーポレーションとの間で、フィリピン国内のセブン-イレブン店舗における現金自動預け払い機(ATM)設置・運営・保守事業等の展開を目的とした業務提携契約を2月10日に締結したと発表した。
セブン銀行は6月にもATM事業を開始するとし、数年以内にフィリピン国内の全てのセブン-イレブンにATMを設置するとした。フィリピン国内にセブン-イレブンは2,726店舗(2019年9月末時点)あり、フィリピンで最も店舗数の多いコンビニエンスストアだ。
セブン銀行によると、フィリピン国内では堅調なマクロ経済の成長などを背景に、金融取引が増加し、銀行口座の保有率が上昇する中、ATM利用ニーズも高まりつつあり、フィリピンのセブン-イレブン店舗に同国初の紙幣還流型ATMが設置され、安心・安全で利便性の高いサービス提供が可能になるとする。
フィリピン銀行協会(BAP)によると、人口当たりのATMの設置数が、フィリピンは東南アジア諸国の中で最低レベルで、人口10万人当たりのATM設置数がフィリピンは20機と、タイの94機、シンガポールの49機、マレーシアの45機、インドネシアの40機に比べて低水準という。
人口当たりのATM設置数が少ない理由として、フィリピン中央銀行(BSP)が2013年に発令したATM手数料の増額禁止令が要因の1つとされており、2013年までは全国のATM設置数の増加率が年率で13%だったのに対して、2013年以降は6.4%にとどまっている。BSPは2019年に入り、ATM手数料の増額禁止令を取り下げたものの、利用者にとって合理的なATM手数料を設定することを義務化する趣旨の通達を国内の銀行に出している。
なお、世界銀行の調査結果(2018年時点)によると、15歳以上のフィリピン国民のうち、銀行口座を保有している国民の割合はわずか34.5%とされる。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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